5月2日に平河ヒューテックが上場してから1ヵ月近い間を置いて、5月30日から再びIPO市場が動き出す。昨年、同じ現象が起きたのは4月26日から5月20日の間だった。IPO再開直後は公募/初値倍率が7倍を越す人気だった。その後に続いた数社も高倍率だった。この事実から、今年も同様にIPO人気が高い状態で復活するかも知れない。投資家はIPOに飢えている。
5月の休みが挟んだ前後の新規公開市場で、2004年の場合は明確な差異を読み取ることが出来ないが、2003年は後が高かった。例年、株式市場は5月中旬に安値を付ける傾向があるので、6月にかけては高くなって行く傾向が表面化してくる。
とすれば、可能性としてはIPO件数の増減以外にも、何らかの季節性や周期的要因がIPO人気に影響している可能性もある。晴れの日は株価が上昇する傾向が強いという統計研究がある。同じ理由で好気候の早夏には、リスク許容度を大きく取る心理が働き、市場でアノマリー現象を生むのかもしれない。
周期性の見方からは、IPO市場が再び活況感を見せてくるかも知れない。ただ、どんな時にも撹乱要因がある。今年の市場はそんな時ではないという保証はない。
というのも、今年はライブドアショックで始まり、市場が落ち着きを見せ始めた頃に市況高、監査法人ショックが襲ってきた。これには、新興市場企業の会計や業績に対する信頼性不安を併産した。今年に入ってからの市場の動きだけを見ると、ネガティブな気分になってくる。今年は、IPO人気が持続できるのか、否かにという二つの見方に対して、どちらかを支持する決め手に欠いている。
一つの見方として、小型株市場を象徴するファンドの動きを参考にすることができる。例えば、インベスコ店頭と安田投信のグローイングアップの基準価格を比べて見る。基準価格は同水準で推移しているが、昨年は概ねグローイングアップがインベスコ店頭を上回っていた。IPO人気が高かった一年は、そんな状態だった。この状況に変化が出てきたのは今年に入ってから。現状はインベスコ店頭が上回っている。構成銘柄の特徴が作り出すこの差が意味しているものは何なのかを考える好機がやってくる。
日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり) |