今日は寄り前に1−3月のGDP改定値が発表され、年率換算で1.9%の速報値が3.1%に上方修正となった。
この上方修正をきっかけにもう少し強い展開を期待したが、寄り付きから売られて、今週もダメかな?と思われた方も多かったことだろう。結果はご存知のとおり82円17銭高で終わったものの出来高は19億株と低調であった。
さて、今日のメインの話題は、先週は誰が売ったのか?である。
連日、外国人投資家の売りがとまらない!とメディアが報じているが本当だろうか。
外資系証券会社13社の寄り前の売買注文差し引き株数は5月25日以降本日までずっと売り越しであることは紛れも無い事実である。
ところが、先週の木曜日に東京証券取引所が発表した3市場の5月25日〜6月2日の投資主体別売買代金差額を見ると、外国人投資家は3,096億円の買い越し(前週は2,320億円の売り越し)となっている。翌日にJASDAQが発表した同数値でも71.7億円の買い越し(前週は22.9億円の売り越し)となっている。
売りの主体を見ると、3市場では個人投資家が3,213億円の売り越し、そして証券会社の自己売買(ディーリング)が3,628億円売り越している。 JASDAQでも個人が157.5億円、証券会社が7.5億円の売り越しとなっていた。
一方で、3市場、JASDAQともに信託銀行、投資信託は買い越している。
これは一体どうなっているのだろうか?
これを見ると、外資系証券会社の売買注文動向は必ずしも外国人投資家の売買動向を反映していないと言えるだろう。
注目すべきは証券会社の自己売買部門の売り越しである。裁定取引などで短期売買に傾注する外資系証券部門の売りが6月9日のSQに向けて売り先行になった可能性も高いと考えられる。
その反対に、中長期投資の外国人投資家そして年金、投資信託等は値頃感から買い出動しているのである。
個人投資家の売りはただ単なる狼狽売りであろう。先週も書いたが、「資金と心の余裕」がなくなったために一方通行に傾いた結果である。
特に、「心の余裕」を無くす材料としては、メディアが報じる外資系証券会社13社の寄り前の売買注文動向である。
振り返れば昨年の夏から年末にかけての高株価を演出した外国人投資家が、今度は売りに回ったとなればトレンドチェンジと考える個人投資家が居たとしてもやむを得ないだろう。
先週木曜日の日経平均株価463円安は、外資系証券会社の自己売買の売りを外国人投資家の売りと勘違いした個人投資家がプロデュースした可能性は高い。
今週木曜日の東証の発表ですべてが明るみになる。
先週、売ったのはだれか? それは、このメルマガを読んでいる皆さんではなかっただろうか?
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |