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編集長のジャストフィーリング 〜なぜIPOの初値を買うのか?〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

今日IPOしたフリーワーク(2486大証H)は朝方から買い気配で始まり、初値は市場がクローズする20分前の14時50分に付いた。

初値の94万円は上場日の高値となり、引けはストップ安水準の84万円で604株の売り物を残すことになった。

いつも思うことだが、どうして今日のような時間帯の初値を買う人がいるのか不思議である。

フリーワークを例にして解説をすると、公開価格40万円、初値の94万円は公開価格の2.35倍である。加えて初値の予想連結利益ベースのPERは約80倍であった。

同社の利益水準とその成長性を前提にフェアバリューを考えれば、最近の市場環境を踏まえても初値はオーバーバリューであることは間違いない。

残念ながら初値を買った人は一度も利食いをするチャンスもなく20分間のトレーディング時間を過ごしただけであろう。そしてロングポジションとしてオーバーナイトの保有を余儀なくされている個人投資家も多いはずである。

まずIPO株が上場日に出来高が多くなる背景について考えてみよう。

筆者がネット証券から頂いた情報からすると、ネット証券会社のIPO当日の関与比率は非常に高く、銘柄によっては80%以上をネット証券5社で占めるケースもあるようだ。

つまりデイトレーダーも多く参加しているということである。

デイトレーダーにとってIPO銘柄がなぜ人気なのか?

それはボラティリティーが高くて、売買の板が厚いことにある。おまけに株価が三桁万円(100万円以上)だと値幅が大きく取れるというメリットがある。

従って、デイトレーダーにしてみれば株価が割安であるか割高であるかなんていう議論はナンセンスである。

2月に上場したドリコム(3793東証M)は公募価格76万円に対して初値は347万円であった。初値は上場日の翌々日に付き、その後4日間連続でストップ高となり上場来高値の637万円を付けるまで上昇しつづけたのである。

当然のことであるが、高値の637万円はPER1,000倍の水準であり、常軌を逸した水準であることはいうまでもない。

このように連日ストップ高までの値幅をとれるのがIPO銘柄であり、このことが大きな魅力となっているのである。

但し、ドリコムのようなケースは年に数回あるかないかの話であって、すべての銘柄に通ずるトレーディング手法でないことも確かである。

話は、元に戻るが、本日上場したフリーワークスは初値の水準からドリコムほど人気化する要素は無く、初値を買ったとしても今日の引けまで20分しかトレーディングの時間がないことを考えれば如何にデイトレーダーといえども手を出しにくい銘柄である。

にもかかわらず、今日の株式市場の上場気運に乗ってしまって、初値に手を出した個人投資家がいたとしたら、今日のことは反省すべき材料ではないだろうか。

繰り返しになるが、初値騰落率が100%を超える銘柄は飛び乗り飛び降りが鉄則である。飛び降りる時間がない銘柄には乗らない事を忘れるべきではない。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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