サッカーのにわかファンの皆さんもこの週末からは十分睡眠を取れるようになったのではないだろうか。
本場のサッカーの醍醐味を味わいたい方は今週からが本番でさらに睡眠不足に悩まされるはずである。
株式投資家の皆さんは今週は3月決算企業の株主総会本番で複数の会社の株式をお持ちになっている投資家はどの会社の株主総会に参加すべきかまだまだ迷っているのではないだろうか。
先週の土曜日には、外食大手のワタミの株主総会が両国国技館で開催され、数千人の株主が集まったと知人から聞いた。
目当てはワタミのオーナー経営者の渡邉美樹社長か、焼き鳥や弁当などの出し物であったか別として、多くの株主を集めたことに間違いは無い。
株主総会そのものは1時間程度で、提出された議案は大きな拍手ですべて承認されたと聞いた。
昼過ぎから始まった株主総会は夕方まで続き、来場した株主諸氏はさぞかし満足して帰途に着かれたことだろう。
ここで再びサッカーの話に戻るが、今回のワールドカップで日本は2敗1分で1次リーグを突破することはできなかった。
3試合での得点は2点、失点は7点。
私だけじゃなく誰もが感じたことだと思うが、日本のシュートの回数が対戦したどの相手チームよりも比べてかなり見劣りしていた。
これではシュートの得点確率が同じであるとしても勝てるわけがない。
特に最初のオーストラリア戦では、たかだか1点を最後まで守りぬけると思ったのだろうか。
最高の防御は攻撃にあると言われるが、防御だけに回ってしまったことが敗因であったことは誰がみても間違いない。
また株主総会の話題にもどるが、ワタミは株主数千人を集めるイベントを企画して株主に株主総会を満足してもらうことによって議案をすべて通すという攻めの株主総会を開催したといえないだろうか。
一方、買収防衛策を議案に盛り込んでいる企業は、時として大口の株主である機関投資家と株主総会で直接対決することになる。
その最たる機関投資家とは、昨年までは村上ファンドの村上世彰氏であった。
そのように機関投資家の標的になる企業が、個人株主が過半数を占めるように株主とのコミュニケーションを行っていれば、株主総会では個人株主が数百人〜数千人集まり、当日の企画力と経営者の魅力で議案は大きな拍手の下すべてがスムーズに承認されること間違い無しである。
そのような会社には、おそらくアクティビストは投資を考えないだろう。
なぜならば株主総会の場で、一人が気を吐いても多くのファン株主の歓声にどれだけの大声もかき消されてしまう。
過去、幅を利かせていた総会屋も真っ青であるはずだ。
自らが信ずる経営を推進したいのであれば、個人投資家を味方につけることが買収者に対する最大の防御になることだろう。
WEB2.0でも言われている、ロングテールを押える戦術が功を奏しているわけである。
個人投資家を取り込むだけが攻撃ではないかもしれないが防御だけを考えるような企業においては経営においても勝ち目はないのではなかろうか。
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |