6月のIPO件数は26件と2000年以降の6月のIPO件数では最高となった。
初値騰落率は26銘柄平均で53.8%と2006年の平均値である104%から大幅ダウンとなった。
市場別に初値騰落率を見ると
大証ヘラクレス |
10銘柄 |
89% |
ジャスダック |
7銘柄 |
26% |
東証マザーズ |
6銘柄 |
51% |
その他 |
3銘柄 |
6% |
と大証ヘラクレスの初値パフォーマンスが一番高くなっている。
ところが、上場日以降のパフォーマンスを見ると、初値騰落率とは逆に初値騰落率が低い市場ほど高くなっていることがわかる。 上場後5営業日目の終値と初値を比較してみると、市場別の平均値で大証ヘラクレス −11.6%、ジャスダック +13.9%、東証マザーズ−5.5%となっている。高く寄り付いた銘柄ほど値を下げていると言える。
個別銘柄で見ていくと、初値騰落率No.1は6月5日に大証ヘラクレスに上場した夢の街創造委員会(2484)であるが、上場日の翌日から株価は下げに転じており、セカンダリーのパフォーマンスはあまり良くない。
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一方、初値は冴えなかったが、セカンダリーのパフォーマンスが高かった銘柄としては、6月23日にジャスダックに上場したNIC・オートテック。初値騰落率は16.8%であったが、上場後5営業日には初値から120%上昇した。
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次に時価総額を見ると、初値ベースの26銘柄平均値は106億円となっている。市場別に見ると、それぞれ初値時価総額平均値が東証マザーズ145億円、大証ヘラクレス94億円、ジャスダック62億円となっている。東証マザーズと大証ヘラクレスにおいては、利益水準に比べて過大な初値が形成された結果、初値時価総額が大きくなる傾向が見られた。
次に株価のバリュエーションであるが、ジャスダック銘柄が非常に割安な公開価格に設定されているにも係わらず、セカンダリーでも株価は冴えない動きとなっている。6月上場の7銘柄は株価の2極化が進み、公開価格を割っている銘柄が4銘柄もある。その4銘柄とはCDG(2487)、アテクト(4241)、特種電極(3437)、キーウェア(3799)で、いずれもPERが12〜14倍とジャスダック平均の23.5倍に比べると超割安水準まで売り込まれている。
最後に、6月のトピックスとしては、6月8日に大証2部に上場した神戸物産(3038)と6月20日に東証マザーズに上場したアドウェイズ(2489)が挙げられる。
神戸物産は、今年最初の初値が公開価格を割った銘柄となった。上場後も値動きは冴えず、7月10日現在においては公開価格を15%程度割り込んだ水準まで売り込まれている。
またアドウェイズにおいては、昨年12月のジェイコムに引き続き証券会社の誤発注で初値が低く押えられたものの、大株主からの貸し株による対応となったため誤発注した証券会社の買戻し期待で大きく買い上げられた。
7月に入ってからの値動きを見ると、総じて軟調な動きを示している銘柄が多いが、売り込まれた銘柄はそろそろ底打ちしそうな水準まで値を下げており値頃感が出てきたといえよう。
7月はIPOの件数が少なく、環境次第では6月銘柄に食指を動かず投資家も多くなってくるのではなかろうか。
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |