今日は先週末から全国の書店に並び始めた筆者の著書について少しご紹介させていただきたい。
本書の趣旨は「公募株が入手できなくてもIPO株には多くのチャンスがある」ということを個人投資家の皆さんにご理解いただきたいがために書いたものである。
IRセミナーの会場で個人投資家の方々とお話をしていると、これからIPOする銘柄の初値の予想などに関する話題が多く、上場してしまった銘柄についてはすでに脳裏から消え去っているという印象を強く受けたことが何度もあった。
確かに公募株を取得できれば、勝率90%超の確率で初値が公募価格の2倍以上になっている現実からすれば、如何に公募株をゲットするか?が重要なことであり、また幸運にも公募株を取得されたかたはいくらまで株価は上昇するのかを知りたいというのは当然のことである。
しかしながら、公募株を取得できる確率は非常に低く、年間二桁の公募株をゲットしたという方のノウハウ本も出版されているが、いざ読んでみるとモノマネしようにもその道はそう容易いものではない。
そこで筆者は読者に問い掛けたい。
上場後のIPO株には投資する魅力はないのだろうか?
2000年以降のIPO銘柄を調べてみると、上場後数年で公募価格の数十倍の株価になった銘柄が相当数存在する。
その上位銘柄の3社を紹介すると、
1位 |
ポイント(2685) |
92.4倍 |
2位 |
サンシティ(8910) |
37.8倍 |
3位 |
フージャースコーポレーション(8907) |
37.6倍 |
※倍率は公募価格ベースの時価総額と今年1月の時価総額を比較
これらの3銘柄の初値騰落率はいずれも一桁%台であった。つまり初値で買って長期保有していれば数十倍となるキャピタルゲインを得られたわけである。
とするならば、IPO株特有の株価形成を熟知して、上場した後にマーケットで買っていくIPO株投資の方法論もかなり有効な投資法であるといえる。
そもそもIPO株投資とは公募価格と初値のサヤを抜くことであると私は考えてはいない。
公募価格そのものがどのように設定されているのか、上場後の株価はどのように決まっていくのか等々を知りうることによって市場でのミスプライスを見つけ出して投資していくことが確実に着実にキャピタルゲインを積み上げていく手法であることを説いているのが本書である。
アマゾンドットコムの本書の紹介では目次さえも記載されていないので、以下の本書の目次を記載しておきたい。
【目次】
Part1.株式投資で成功する10訓
公募株が入手できなくても、IPO株には多くのチャンスがある
- 市場で付いている値段は間違っていると考える
- 投資する株式は割安株のみ
- 自分の投資手法は他言しない
- 自分を信じて投資手法(ルール)を実践する
- ウォッチ銘柄は二桁
- 投資銘柄は一桁
- 年率10〜30%を着実に目指す
- ボトムアップアプローチで銘柄を探す
- アクティブ手法で絶対的プラスを目指す
- 逆張りアプローチで投資する
Part2.2000年以降のIPO市場を分析する
- 過去を分析すれば、有効な戦略が見えてくる
- パフォーマンスが向上し続けるIPO株
- 10倍以上になった出世株の顔ぶれ
- ここ2〜3年の大出世株の傾向
- 利益成長が株価に反応しやすい会社と反応しづらい会社
- 大出世株が出る3条件
- 大幅上昇するIPO株の値動きパターン
- 1部指定替え、ファイナンスが大きな相場転機になる
- 市場別パフォーマンス
- 主幹事証券会社別パフォーマンス
- 漢字銘柄の初値以降のパフォーマンスは良い
- IR活動に熱心な会社のパフォーマンスは高くなる
Part3.IPO株独自の株価リズムをつかむ
- 初値騰落率5銘柄移動平均とは
- 初値騰落率は春に高く、年末に低くなる
- IPO株独自の相場リズムは、独自の需給構造が生み出す
- 初値騰落率が下がる10〜12月が初値買いのチャンス
- 10〜12月に買い、3ヵ月後に売る
- 初値騰落率が低い銘柄への投資は3ヵ月後で高パフォーマンスになる
- 安く買った株は、保有期間が長いほど株価が伸びる
- 初値騰落率の高い銘柄には手を出さない
Part.4 IPOディスカウント理論を使った短期売買戦略
- IPO公募価格を決める類似会社比準方式とは
- 利益レバレッジ倍率から、適性株価を計算する
- IPOディスカウントについて
- IPOディスカウント理論を使った短期売買戦略とは
- 実例1、2
Part.5 適性株価を用いた中長期投資戦略
- 株価は金利との裁定で決まる
- 「株式益利回り」と「PER」の関係を理解する
- 日経平均225銘柄の平均PER20倍がひとつの基準になる
- 成長性が高いほど、適性PERも高くなる
- 利益成長のない企業のPERは15倍
- 代表的な銘柄で「PERと成長率」の関係を見る
- 適性株価の考え方を使った中長期投資戦略
- 事例1〜6
- IPO株は上場後時間が経ったものにこそチャンスがある
このような内容の本です。 是非、ご一読いただきIPO株投資の実践にお使いいただきたいと思います。
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |