完璧な夏ですね。マーケットはややダレ気味のようですが、夏バテにはなっておりませんか？

私もさすがにクーラー無しの生活には耐え切れず、朝から図書館に入り浸っております。冷たいコーヒーが飲めれば言うことなしですが、そこはやむなしと言ったところ。

さて、今日は読者の方からいただいた貴重な質問にお答えします。

これまでは、それぞれの方に返答していたのですが、一人の方が疑問に思うなら、もう一人くらい同じように疑問に思ってらしゃるかもしれませんし、正直な話、書くネタがあるというのは非常に有り難いことであります。

「為替王」さん（為替の有名ブログ）のように毎週毎週あれだけマメに回答することは不可能でしょうけど、些細な質問をお待ちしております。

ちなみに、今週のテーマは「ファンドマネージャーとトレーダーの関係」。
読者の方の疑問は、「質問なのですが、ファンドマネージャーとトレーダーの力関係というのは、どういったものなのか」というものです。

私としても、「すっかりこういう関係に慣れてしまっている」状況なので、非常に新鮮な質問でした。

最初に定義しておくと、ファンドマネージャーはポートフォリオを作るのが仕事。トレーダーは、ファンドマネージャーの意向を汲んで発注業務を行うのが仕事。イメージとしては、ファンドマネージャーが上流、トレーダーが下流で、主従の関係は明確です。

後は、どういったトレーダーが理想的なのかということ定義できれば、「ファンドマネージャーとトレーダーはこういう関係だ！」と言えるのですが、残念ながらそれをはっきりさせるのは非常に困難です。

というのも、ファンドマネージャーの優劣はファンドのパフォーマンスで明確に区分できますが、トレーダーの優劣というのは、数値で現れるもので判断するのか、それ以外のもので判断するのか、これと言ったものがない。そのため、「こういう力関係が望ましい（＝トレーダーの在り方）」というのがない。

なので、ファンドマネージャーにとって優れたトレーダーというのは、まさに人それぞれで、それ故、「これがファンドマネージャーとトレーダーの力関係だ！」というものが挙げにくいのです。

また、トレーダーとしても、ファンドマネージャーが何を求めているのかで、相互の関係が変わるのでなかなか定義しにくいのが現状です。（トレーダーの給与が出来高制というのはあまり聞かないのは定量的に判断しにくいからかもしれません。）

例えば、自分で株価水準や売買タイミングまで計らないと気が済まないファンドマネージャーにとって、トレーダーのあるべき姿というのは、自分の手足となって迅速に発注してくれるトレーダーです。

一日中、自分で板をジーっと見てて「今、買ってくれ」「何株売ってくれ」と指示を送ってくるので、それに対応するのがトレーダーに求められる役割です。

一方で、売買タイミングや執行株数の裁量をある程度トレーダーに任せるのファンドマネージャーもいます。
「明日上がると思えば買って良いし、下がるなら打診買い程度で良い。」
「吹いたら連絡くれ、売るから。」

こちらは、トレーダーの力量次第でファンドのパフォーマンスも多少変わるので、ファンドマネージャーが何を材料に買いたいのか？利食いのタイミングはどこか？と言った情報交換が欠かせません。

こうやって並べると後者の方が重圧が大きい分やりがいがあるように見えますし、ファンドマネージャー毎に仕事のスタイルを変えなければならず大変そうです。

しかし、それぞれの銘柄の雰囲気を掴んで、最適な執行方法を考えるところまでは同じ作業でして、違いは、それをどのようにアウトプットするかのところだけです。トレーダーの役割はファンドマネージャーに的確な情報提供を行うことと考えれば、大した違いはありません。前者のファンドマネージャーにも当然ながら、マーケットの状況や「ショートセルがガンガン入ってるから、下げますよ。」といった情報は伝えます。

もっとも、ファンドマネージャーが売る理由が「キャッシュがない」「ファンドの解約」だとトレーダーの出番はなく、ひたすら言われた銘柄を売るだけですが。

粛々と時間分散で執行していくだけ、何も情報を拾ってこない、マーケットの変化に対する感度が鈍いといったトレーダーもいなくもないですが（愚痴ではないと言いたいとこですが。。。）、「トレーダーは、トレーダーしか認識できないことを掴んで、ファンドマネージャー向けの材料に加工して伝える、そしてファンドマネージャーは自分が求めている情報を的確にトレーダーに伝えて、無茶は言わない。」こういうのが理想的な関係ですかね。

でも、やっぱり人間なので、好き嫌いだけで噛みあわない関係もあるのですけどね・・・。あと飲みに行ったりする回数とか・・・。

某運用会社日本株トレーダー　鰊（にしん）
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