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編集長のジャストフィーリング 〜株主だけで企業再生できるか?〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

ダイエーの樋口社長のメディアへの露出が多い。

「男は黙ってサッポロビール」ではないが、経営のトップが去るときは口を開かないほうがいいだろう。

経営者には経営者にしか理解できない悩み事があることくらいは社員も理解できるだろうが、経営のトップは記事を読む社員の気持ちも考えないといけない。

現場の社員は経営のレベルで起こっていることなど知る由もない。
ただただ毎日1円でも多くの売上を作るために努力の日々が続いているのである。

なのに自分が過ごした時間を正当化しようとメディアに思いの丈をぶちまける(たぶん半分もぶちまけてはいないと思うが・・・)ような不様なことはやめて頂きたいものである。

私から見れば、「敗軍の将、兵を語る」の逆で、「兵のトップである現場の長が、株主という将を語っている」ように見える。

企業はGoing Concernで社員はその存在を維持し続ける人柱のようなものである。

企業再生とは継続できる事業を再育成していくために物事をトップダウンで決めていくのではなく、如何にボトムアップ的な動きを作るかが重要であると考えられる。

現場は毎日戦いを続けているのにもかかわらず、大株主は自らの利益と次なる経営者選びで大忙しだ。

トップや株主が変わっても、現場の社員は毎日の仕事は止めることはしない。
なぜなら現場の仕事の先にはお客様である消費者の存在があり、社員はお客様の期待に応えることこそが復活の源泉になることを知っているからだ。

その構図を大株主は忘れているのではないだろうか?

勝負に負けることを恐れているのは株主という将に宿る心であって、現場は負けることを許されることも無く日々戦い続けているのである。

ダイエーの姿を見ていると、企業再生とは名ばかりで、産業再生機構から譲渡された株式は転々として行き着くところをしらない。そして会社再生ゲームの本当の参加者である社員の心と体はどんどん疲弊していっていると考えられる。

親の心子知らず、ならぬ、社員の心株主知らず、である。

樋口社長には最後の1日まで現場で頑張って頂きたいものである。
付け加えるならば、林会長、「失礼ながら、その売り方ではモノは売れません」を徹底的に現場にすり込んでいただきたい。理屈ではなくて体で勝ち方を社員に教え込んで頂きたい。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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