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バイオはIPOの花形になるか
  日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)

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創薬ベンチャーがIPOで100億円を調達するという。格付投資情報センターが開発した分析手法による投信の総合運用力評価では、大和投信のiバイオの愛称を持つ「遺伝子情報革命」が1位になったとも。バイオは時流の中央に踊り出てきたのだろうか。

その、バイオ産業動向には厳しさが付きまとっている。わが国でバイオベンチャーの株式上場が本格化し始めたのは6年前。この間、上場にまで漕ぎ着けたのは20社弱でしかない。多くのバイオベンチャーはベンチャーキャピタルから多額の資金を集めたものの、目論見が外れて成長軌道に乗れないままでいる。

これまでの目論見外れは、主に開発研究か医療・法制度の壁を突き破れないことに起因している。加えて、上場審査制度の障壁も加わってきている。このために、夢と希望で始めたバイオベンチャーの多くが「死の谷」から脱出できないままで立ちすくんでいる。

上場後も赤字が続く現実を目にして東証は、利益が出ない状態が続いても企業が存続し、開発を継続できる余裕を求めた。その条件とは製薬会社とのアライアンスや資金需要の妥当性など。

これは一定程度のキャッシュを持っていることを意味している。バイオ企業は収支が黒字化するまでの期間が長く、いわゆるバーンレートが高いからだ。一般的に見て、3年程度の運転資金を持って開始しても、多くは計画が遅れるので資金不足に陥る。これを増資で賄えば、株価の希薄化が生じる。しかも、繰り返して。

そんな産業に属する企業へ投資して本当に儲かるのか、という疑問がバイオファンドに向かうのは当然だ。「遺伝子情報革命」の目論見書によれば、投資対象はバイオに関連する企業への投資。実際の投資上位にはキヤノン、松下、堀場、東芝、シャープ、浜ホトなどが並んでいる(8月末)。これらの銘柄は、いわゆるバイオのイメージではない。このバイオファンドが高評価を得ているのにはカラクリがあった訳だ。

そんな日本の証券市場からバイオ企業が育ってくるのは至難。件の企業も日本人が起業したとはいえ、ビジネスの基盤は米国、市場もナスダック。わが国の証券市場でバイオIPOが花形になる条件は未成熟だ。

 

日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)

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