東京IPO開示速報サービスの編集を担当している八木由治と申します。
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さて、第1回目は適時開示情報に関する話題ということで、業績予想に関する注意点について書いてみたいと思います。
上場企業は、取引所の開示規則に従って、中間・期末の決算短信発表時に当期の業績予想を開示することになっています。
また、当初業績予想に比べて売上高で上下10%、経常利益・当期利益で上下30%
以上の変動が見込まれる場合、業績予想修正を行い開示しなければなりません。
しかし、情報開示意識の高まりからか、最近は多くの企業で上記の変動幅以内
に収まる場合でも業績予想修正を開示する例が見られます。
投資家にとってみると、わずかな業績変動も子細に開示されることは喜ばしいことで、業績予想修正の開示だけを追っていてもそれに伴う株価の変動で投資チャンスが出てくるのですが、業績予想修正の開示がないまま気づかぬうちに業績予想が修正されていることもあるので注意が必要です。
セブン&アイ・ホールディングス(3382)は今年4月12日に18年2月期決算短信を開示しましたが、そこに記載された19年2月期の通期連結業績予想は営業収益5兆2,000億円、営業利益3,000億円、経常利益2,950億円、当期純利益1,500億円でした。
しかし、10月12日に開示された中間決算短信では、営業収益が5兆3,800億円(+3.4%)、営業利益が3,050億円(+1.6%)、経常利益3,000億円(+1.6%)、当期純利益1,530億円(+2.0%)と、それぞれ期初の業績予想よりも上方に修正されていました。
7月11日開示の第1四半期財務・業績の状況においても当初業績予想のままでしたが、同日〜中間決算短信開示日までに業績予想修正単独での開示は無く、実質的に中間決算短信において業績予想修正がなされたことになります。
同社の場合、今回の業績予想修正理由は、18年9月1日付でヨークベニマルを完全子会社化したことによるものとの説明がなされていましたので、4月11日の「(ヨークベニマルとの)株式交換契約締結に関するお知らせ」を読んでいれば、何らかの修正可能性を予想できたかも知れません。とは言え、可能性としてこのような明確な理由がないままにひっそりと業績予想が修正されるということもありえる話です。
上記の場合でも、開示義務が無い範囲での業績予想修正は大した影響はないかも知れません。しかし開示義務ギリギリの10%近い利益変動でも業績予想修正単独での開示が無かったとすればどうでしょうか? やはり四半期決算開示においては、実績を確認するだけでなく業績予想の変動についても直前の開示と比較・確認する必要があると言えるでしょう。
プロの方には当然の話でしょうが、今回は自戒を込めて見落としがちな点を書いてみました。このコラム以外にも、日々の開示情報に関する情報は下記のブログに書いて言います。編集長ブログ、プロデューサーブログともども宜しくお願いします。
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東京IPO開示速報担当 八木 由治 |