携帯電話をもっと楽しく使えるソフトが出てきた!

〜アクロディア(東証マザ3823) 堤社長に聞く

 

10月から携帯電話の番号を変えずにキャリア変更が可能となるナンバーポータビリティ制度が始まった。

昨日も姪がソフトバンクの新しい機種に変えたと言って新しい携帯電話を見せに来た。「見て!見て!」と言われたのが、友人から届いた携帯メールだった。テキストの文字の後に次から次へと絵文字が大きく現れる。テキストのみのメールに比べると書き手の感情が伝わってくる度合いが大きく違う。

ユーザーにとっては携帯電話にかかる毎月の費用も重要だが若い世代にとっては携帯電話の機能はもっと重要である。携帯ビジネスはナンバーポタビリティ制度の始まりでキャリア間の熾烈な料金引き下げ合戦が始まり、携帯関連ビジネスもそろそろ頭打ちかと思っていた矢先に新たなコンテンツビジネスが立ち上がりそうな予感がした。

携帯電話がますますメディアとしての機能を充実していく裏方の技術を進化させているアクロディアの堤社長にお話をお伺いした。


事業概要について

当社は移動体通信事業者(以下、携帯電話事業会社=キャリア)及び携帯電話上で動くソフトウェアの開発事業者向けにミドルウェアを提供する会社。と言っても、読者にはまだまだ解りずらいであろうから、もう少し説明すると、パソコンの場合だとウィンドウズというOS(オペレイティング・システム)の上で、電子メール、表計算、文書作成等のアプリケーションソフトが動いているが、我々が使っている携帯電話の場合は、その中間にミドルウェアと呼ばれるOSよりも高度でより具体的な機能を提供するソフトウェアが存在する。ACCESSのブラウザーやアプリックスのJavaもそのひとつだが、当社では、快適なユーザーインターフェースを実現するミドルウェアの開発・販売を主な事業としている。

*ユーザーインターフェースとは、ユーザーに対する情報の表示様式や、ユーザーのデータ入力方式を規定する、コンピュータシステムの「操作感」。

具体的な事業は次の3分野に分かれている。

  1. コンサルティング事業
  2. キャリアやソフトウェア開発事業者に対してソフトウェアの立案・設計・販売を支援している。この事業は顧客のニーズを吸い上げ、そのソリューションを以下に説明する受託開発事業および自社製品開発販売事業へと繋げていく基礎となっている。

  3. 受託開発事業
  4. 当社が開発したソフトウェアを使った試作品の作成や、携帯ハードへの当社製品の組み込み等をキャリア、携帯メーカー、ミドルウェアベンダーから受託している。

  5. 自社製品開発販売事業
  6. 携帯電話などの小型組み込み機器向けソフトウェアの基盤となる技術の研究開発ならびにキャリア及び携帯電話メーカー等に自社製ミドルウェアをライセンス販売している。当社は現在5つのミドルウェア製品を開発・販売しているが、主力は『VIVID UI』と『VIVID Message』の2製品となっている。この事業はミドルウェアが搭載される携帯電話の個数に1台あたりのライセンスフィーを乗じたものが売上となる。

当社製品について

当社が開発・販売する主力のミドルウェアの二つについて紹介しておきたい。

  1. 『VIVID Message』(http://www.acrodea.co.jp/product/message/index.html
  2. メールをテキスト入力すると絵文字に自動変換するミドルウェア。このソフトを使ってメールを作成すると、受け手側がメールを読む際、絵文字やテキストが動き出す。実際にデモ画面を拝見したが、なかなか面白い。現在の携帯電話のメールでも動く絵文字があるが、こちらのソフトでは、メール文章全体が、スクロール表示されるので、新鮮な印象を受けた。

  3. 『VIVID UI』(http://www.acrodea.co.jp/product/ui/index.html
  4. 従来固定されている携帯のメニュー等の操作画面を、ユーザーのリテラシーや嗜好に合わせて自由に選択したり、使い勝手の良いものに変換するミドルウェア。いわゆるユーザーインターフェースの骨組み部分にあたるもので、この製品の販売先は、キャリアである場合とメーカーである場合の両ケースがある。開発するキャリア、メーカーにとっては、当ミドルウェアを採用することでエンドユーザーに、キャリアやメーカーを問わない共通する使用感の操作画面を提供できるメリットがある。また、簡単に操作画面を作成できるので、ゼロから作る場合と比べて、開発する期間、費用を削減することができる。メーカーが独自に開発するというこれまでのやり方に新しい選択肢を提供する。

マーケットについて

携帯電話の市場は、飽和状態と言われるが、2年半に一度のペースで買い替えの需要があると試算されている。日本市場だけでもコンスタントに年間約5,000万台の市場規模があり、 全世界を市場と考えると、2006年末には10億台の携帯電話が出荷される見込みだ。 因みにサムソンの昨年の出荷台数は1億台、ワールドワイドでシェアNo3の韓国のサムソン電子に採用され、それまで受託開発がメインであった当社の売上は飛躍的に伸びることとなった。ソフトウェアの販売はライセンスによる販売のため、採用機種が今後増えてくれば、当社の売上は掛け算式に増えていくことになる。

業績の推移
  2005年 2006年 2007年
(会社予想)
売上高(百万円) 205 1,077 2,188
経常利益(百万円) 11 84 263

■西堀編集長の視点

堤社長は創業からわずか2年3ヶ月の3期目に上場を実現した。それも創業期から一度も赤字を出していない。経歴を聞くと研究開発にいままでの人生の時間を使ってきたように見えるが、実は自らが開発したソフトを実用化するためには何が近道でどのようにビジネス化するべきなのかを知り尽くした人物でもある。
その部分を実証しているのが、当社の最初のビッククライアントなった韓国のサムソン電子の存在である。日本の携帯電話業界のことを「一見さんお断り」的な慣習があると堤社長は言う。そんな日本の携帯電話業界もサムソン電子が導入したとなれば見過ごすわけにはいかなくなってきている。

携帯電話のユーザーの視点で考えた場合に、携帯電話は通話とテキストベースのメールだけで十分と考える人も世界中には多いかもしれないが、日本、韓国、中国などは携帯電話をメディアとして利用する人が多い地域である。
これらの地域でのメディア化された携帯電話の利用は間違いなく広がり、加えて欧米でも徐々に広がることを考えれば、新たな携帯コンテンツビジネスのプラットフォームとして当社の技術は全世界的なコンテンツプロバイダーの注目を浴びることになるだろう。絵文字が飛び出てくる携帯メール、一度、読者の皆さんも携帯ショップでご覧頂きたい。
最後にちょっとだけ宣伝しておくと、絵文字は探さなくても大丈夫!テキストを打つと自然と出てきます。
 企業DATA    株式会社アクロディア
□証券コード 3823・東証マザーズ株価情報へ
□ホームページ http://www.acrodea.co.jp/
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