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株式会社ファンドクリエーション
(JASDAQ・3233)

田島克洋社長インタビュー

毎月分配型公募投資信託と言えば、誰しもがグローバル・ソブリン・オープンを思い浮かべるだろう。投資対象は世界のソブリン債、AAA格の債券が中心でその92%は外貨建てとなっている。毎月分配金の魅力でその純資産の額は1997年12月から9年間の歳月を経て5.5兆円という巨艦ファンドまで成長してきた。
その毎月配当金がもらえることが個人投資家の心をくすぐるポイントであることに目をつけて不動産の収益をベースにした個人投資家向け金融商品を開発した一人の証券マンがいた。その男の名前は田島克洋、10月27日にJASDAQ市場に上場したファンドクリエーションの社長である。今回はファンドクリエーションの本社がある六本木ヒルズを訪問して田島社長にお話を伺った。
事業を始める経緯は?
慶應大学法学部を卒業後大和証券に入社し支店営業で投資信託の販売を行っている中で様々な思いがあった。その後、アメリカのジョージワシントン大学ロースクールに社費留学し、ニューヨーク州の弁護士資格を取得。
帰国後は経営企画部門でいわゆるMOF担を2年間、その後、会社がヘッジファンドの運用会社をニューヨークに設立したことで自ら運用する機会を与えてもらった。2年間のウォールストリートでの運用体験で、欧米スタイルの運用会社への憧れが強まり帰国後、同社を退社、独立系証券会社に身を転じ、新しいタイプのファンド開発の機会を与えられた。

その後、縁あって東証1部上場のデベロッパーで不動産物件開発に携わるチャンスを与えられるとともに、証券子会社の設立や不動産運用会社のマネジメントを行い、当時から個人投資家に人気のあったグローバルソブリンファンドをヒントに毎月分配型の公募不動産投資信託を組成した。しかし、短期間での組成であったことから、販売政策に手が回らず販売目標に対して自身が満足できる結果を出せなかったことから引責辞任した。退社後すぐに自らの手掛けた毎月分配型・公募型の不動産投資信託を再度実現すべく2002年12月に当社を設立した。
    現在の事業の内容は?
 当社は、1.ファンドの組成・運営等を行うアセットマネジメント事業 2.不動産物件への投資、上場企業・未上場企業への投資、証券仲介業務を行うインベストメントバンク事業 3.その他 の事業を展開している。
1.アセットマネジメント事業は、ファンド開発、不動産ファンド運用と証券ファンド運用に分かれている。
ファンド開発に関しては、「投資家のニーズに立脚した魅力的なファンド開発」を事業コンセプトに、日本と中国の不動産および未上場株式などに投資するファンドを組成し様々な投資家層に提供している。

不動産ファンド運用においては、
@)東京都心の高級マンション等の不動産賃貸収益等を元利金の源泉とする毎月分配型で8月末の純資産残高が275億円の「レジット不動産証券投資信託」と同純資産額18億円の「ジェイ−グランド不動産証券投資信託」 
A)東京都心一等地の居住系賃貸不動産に集中投資しているJ-REIT「FCレジデンシャル投資法人
B)中国国内所在の不動産等に投資するチャイナエキスプレス中国不動産ファンド1号、2号、3号(8月末純資産額合計34億円)を運用している。

証券ファンド運用においては、中国やアジア諸国の上場株・未上場株に投資するファンドや日本株においては著名なファンドマネジャー3名が冠についている公募の投資信託、そして特色のあるベンチャーキャピタルが投資助言を行うLPを通して未上場企業に投資するファンドを運営している。

不動産ファンドと証券ファンドの合計残高は2006年10月末で800億円を超す残高まで成長している。このアセットマネジメント事業においての収益は管理報酬、信託報酬、業務委託報酬、資産運用報酬、投資顧問報酬、アセットマネジメントフィーなどのファンド残高に応じて得られる報酬と不動産の取得及び売却に係る価額に応じて得られる報酬から成り立っている。 前期においては約15億円の収益を計上している。

2. インベストメントバンク事業は自己資金による不動産投資部門と株式などの証券への投資や仲介を行う証券投資部門から成り立っている。

不動産投資部門においては、オフバランスを目的としたSPCを利用して不動産への投資を行い、バリューアップおよび開発が完了した物件を譲渡することにより売却益を得ている。当社の強みは独立系であるが故に幅広いデベロッパーから直に情報が入るソーシング力と新築物件を短期間で高い稼働率まで引き上げるリーシング力にある。大手を含む不動産デベロッパー26社から品質の高い不動産物件を取得し、1年〜1年半で不動産の付加価値を上げて譲渡している。特に当社が手掛ける都心の高級マンションは、投資家にとっては多少投資利回りが低くても安全で安心できる物件としてそのニーズは非常に高い。

また、証券投資部門においては、上場の中堅企業や優良未上場企業への高度な金融ソリューションを提供し、その対価として株式や新株予約権を取得したり、コンサルティングフィーを得ている。
前期においては5.4億円の収益を計上している。

当社の強みは?

1 アセットマネジメント事業
・不動産投資ファンドにおいては毎月分配型のレジット不動産証券投資信託が毎月の基準価額を1万円台に維持しながら1万口あたり月45円の分配を継続し年換算利回り実績は5.4%と安定している。
・証券投資ファンドにおいては、ファンドマネジャーの名前を冠にした黒田アクティブジャパンは設立から数ヶ月で140億円超の資金を集め投資家に対するファンドマネジャーの責任体制を明確にすることによってより信頼性の高い運用を目指している。

2 インベストメントバンク事業
不動産投資部門においては、昨今の外国人投資家による日本の不動産取得ブームへの対応として田島社長の卓越した英語力に加えて米国本場仕込みのリーガル知識をベースにした交渉力で外国人投資家と時下談判できることも大きな強みとなっている。

業績の推移
   
売上

経常利益(百万円)

2003年11月 (単体)
126
44
2004年11月  
610
212
2005年11月  
2,062
1,090
2006年11月 (会社計画)
5,,471
4,000
今後の展開

今後の展開としては、2年前から取り組んでいる中国やアジア(インド、ベトナム等)の不動産にも分散投資をしていきたい。また日本国内の事業展開では不動産事業への依存率を下げるという意味で証券事業を軸とした事業の多角化を行い事業リスクの低減を図っている。事業の基本理念として市況に左右されない事業構造にするために1点張りを行わないように心がけている。

■西堀編集長の視点

不動産ファンドというと、都心の優良なオフィス賃貸物件を保有するファンドが安定配当をできることを背景にJ-REITの中でも利回りが低くその価値の高さが認められているようだが、ファンドクリエーションの田島社長のお話を伺ってオフィスと同様に都心の高級賃貸マンションの価値も相当高いものであることが良く理解できた。
 
その証左となるのは、中東のオイルマネーや欧州の機関投資家の資金が東京の高級賃貸マンションにも向かっており、利回りが4%程度の都心の物件でも飛ぶように売れていることにある。我々一般の個人投資家にとって高級賃貸マンションなんて住むことすら難しいが、投資信託を通じてならそのリターンを享受することは不可能ではない。ちなみにファンドクリエーショングループが運用する毎月分配型の不動産証券投資信託なら毎月投資の機会がある。

一度、目論見書をじっくり読んでみてはどうだろうか。そこにファンドクリエーションの事業モデルの秘密が隠されているかもしれない。


 企業DATA    株式会社ファンドクリエーション
□証券コード 3233・JQ 株価情報へ
□ホームページ http://www.fundcreation.co.jp/
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