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編集長のジャストフィーリング 〜株式持合い復活〜

東京IPO編集長 西堀敬

先週の日経新聞の1面に「株式持合い一段と増加」との見出しがあった。

事業会社の株式保有額が2006年9月末時点で1年前に比べて、17%増加したらしい。

懲りない面々ばかりだな・・・・と思ったのは私だけだろうか。

持ち合いの源泉となっている考え方は買収防衛らしいが、ここで「防衛」とは「何を防衛」するのか?を投資家としては知りたいところである。

何をどう考えても「経営者の保身」以外には見当たらない。

日本企業が外国企業に支配されてもいいのか?

なんて言う国民のナショナリズムが株式の持合いを支持するとしたら、その感覚は完全にずれている。

現に日産は、ルノーが大株主で経営のトップはカルロス・ゴーンという外国人ではないか。 だからと言って日産車を買わなかったり、日産の株式を買わないという行動に出た日本人は居ただろうか。

ましてや、日本の株式市場の主役は外国人投資家であり、時価総額の大きな企業の大株主に名を連ねている。

百歩譲ってたとえナショナリズム的な発想があったとしても、大口の外国人株主の支持を得られなければ経営陣は解任のリスクもあるというものだ。

持ち合いということは、資金的には「行って来い」だから増えも減りもしない。 だから、何も問題ない、と考えているとしたら、とんでもない経営者ばかりが日本を代表する企業を運営していることになる。

既存投資家は1株当りの利益の希薄化により、利益の総額が減らなくても配当原資は少なくなり、当然のことながら1株当り利益の低下は株価にも、悪影響を及ぼすことは必須である。

このように考えると、投資家にしてみれば持ち合いなどもってのほかである。

株主を向いた経営と言いながらも、不可侵条約で株主権を行使しない安定株主が増えていくことをその目的をする持ち合いならば経営者の緊張感が低下していくことは間違いない。

物事の考え方を改めないとするならば、いつか来た道を辿る運命になるはずだ。

ならば守るよりも攻めるべきである。

攻めるとは、買われる前に相手を買う、ということもありうるが、それでは資本効率が落ちることにも繋がりかねない。

まずは自らの会社の株価を上げることが先決ではないだろうか。

そうすれば既存の株主も経営陣も安泰となる。

但し、株価を上げるには経営者が株式市場にコミットするだけの覚悟が必要だ。

それだけの覚悟がないから持合となるのかもしれない。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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