先週、土曜日は東京証券会館でIRセミナーを開催した。
個人投資家の皆さんの出足は1年前ほどでもないが少しずつ戻ってきたような気がした日であった。
さて、IRセミナーの冒頭の基調講演をファンドクリエーション(JQ 3233)のインベストアナリストの木下晃伸氏にお話いただいた。
木下氏の日本株の見方は2015年まで上昇基調は続くというものであった。
この背景となっている物事の考え方は、米国のハリー・S・デント・ジュニアが書いた書籍「The Bubble Boom Ahead」で述べられている「アメリカ人は、46歳が人生において一番お金を使う」と考え方がベースになっている。
アメリカの人口動態を見ると、45〜49歳の人口が1990年以降右肩上がりの増加の一途で、ピークを打つのは2010年となる。株価は45〜49歳の人口の増加ペースの動きに一致している。
日本において、年代別の収入に占める支出の割合を統計で見ると、40〜44才が収入以上に支出が多い世代となっている。この前提を日本の株式市場に当てはめて考えると、1980年代後半の株高は今の団塊の世代が40〜44才に差し掛かった時期であり、国内の景気は良くて株価は上昇して当然であったと言える。
その後、1990年代に入って40〜44歳の年代の人口が下降してくると景気は悪化し、国を挙げての財政出動で景気浮揚を政府は狙ったが、結果はご存知の通りである。
木下氏に言わせれば、時の政権は誰が握っていても政策良し悪しで結果は変わらなかったはず。
ところが2000年に入り、40〜44歳の世代人口が底打ち上昇を始めると日本の株式市場も少しずつ上昇を始めたのである。
団塊の世代はここから数年間で退職となるが、そのジュニア世代が、2015年に40〜45歳になってくるのである。つまり現在から2015年に向けて株式相場は、上げ下げを繰り返しながら上昇を演じる可能性が高いということである。
先週発表された昨年10−12月期のGDPの個人消費は前年同期比で1.1%の増加となった。一般論としては、人口の減少で個人消費はグロスで減ることはあっても、増えることはないと考えるのがまともな考え方であるが、世代人口の構成内容によっては増える局面もありそうだ。
木下さんのお話をベースに考えれば、ここから10年近くは、個人消費が徐々に増えていくことになり、内需を核とした経済成長も可能であると言えそうだ。
私は今後の日本経済の成長において、個人消費はあてには出来ないと考えていたが、今回のお話を聞いて、少し軌道修正するべきであると考えた。
とするならば、外需(輸出)頼みの日本経済に内需が加わって、息の長い株式相場の上昇を期待することができることになりそうだ。
とは言うものの、今週水曜日は日銀政策決定会合の結論が出る日である。
もし利上げとなれば株式市場は良くも悪くも一変する可能性は十分ありうる。
中長期的には楽観視できても、短期的には「一寸先は闇」と言うことも念頭においておくべきだろう。
東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com |