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編集長のジャストフィーリング 〜2007年2月IPO市場総括と3月の展望〜

東京IPO編集長 西堀敬

今年のIPOのスタートは1月は1件も無く2月6日となった。2月のIPOは20件で、 上場市場別内訳で見ると、JASDAQ 8件、大証ヘラクレス4件、札幌アンビシャス 3件、東証2部 2件、東証1部、東証マザーズ、名証セントレックスがそれぞれ1 件ずつであった。件数ベースでは昨年の23件に比べると小幅減となった。また 市場調達額で見ると、昨年の10月〜12月は毎月数千億円の調達が続いたが、2月は約532億円とかなりその規模は小さくなった。

初値は平均騰落率が39.71%と昨年1年間の平均値である76.98%から大幅に低下 してきた。セカンダリーマーケットを見ても初値と2月末の株価を比較すると 初値を維持している銘柄は20銘柄中5銘柄のみと冴えない動きとなっている。 また公募価格割れ銘柄も7銘柄と新興株式市場離れを強く感じさせる。

そんな中にあって、公募価格、初値を大きく上回り推移している銘柄が3社ある。その3社とは2月14日に東証2部に上場した不動産担保ローン事業を営むアサックス、2月28日に大証ヘラクレスに上場した
金属メッキ事業を営むFCM とジャスダックに上場したゲームソフト企画・開発・販売事業を営むAQイン タラクティブである。アサックスとFCMはベンチャーキャピタル等の上場後 に市場に株式を供給して需給を壊すような株主も見当たらない上に、非常にユニークな事業展開をしていることが市場で評価されていると考えられる。AQインタラクティブに関しては、同業のゲームソフト開発会社であったセガの元社長である中山隼雄氏が代表を務める企業であり、将来ゲームソフト業界の大きな存在となる期待が込められているのと同時に、昨年から新しいゲームソフト用のハードが脚光を浴びており、新タイトルの販売増加に繋がるとの見方もありそうだ。

さて、3月のIPOであるが23社が予定されている。昨年3月は20社がIPOし、大型上場もあって資金調達額は1,762億円であったが、今年の3月は先月と変わらず調達総額555億円が予定されている。

その中でも目を引くのは3月16日上場予定のユニバーサル・スタジオ・ジャパンである。同社は1社で約280億円の市場調達を予定しているが、その6割が既存株主の売り出しとなっている。既存株主の売り出しと言えば、IPO市場を崩壊させた昨年10月、11月のあおぞら銀行、アコーディアゴルフのIPOを思い出す投資家も多いかもしれない。しかしながら、昨年10月、11月の2ヶ月は調達総額が7,500億円であったことからすれば、今回のIPO市場への影響は限定的であると言えよう。但し、USJの初値以降の株価形成においては売りたい株主が多いことから上値は非常に重たくなると考えておいたほうがいいだろう。

東京IPOの調査では、ここ1年6ヶ月間に上場した銘柄は市場平均PERよりも割安に放置されており、一度新興市場に資金が流入し始めれば一気に水準訂正が起こる可能性が高いと見ている。

2005年7月〜2006年12月までにJASDAQにIPOした銘柄82社の予想利益ベースの平均PERは2月28日終値ベースで15.7倍となっている。JASDAQ市場平均がPER25倍前後であることからしても40%近くディスカウントされた水準に放置されていることがわかる。

銘柄を丹念に調べれば1年以内に相当のリターンが得られる銘柄が続出する可能性が高いだろう。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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