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編集長のジャストフィーリング 〜リートと不動産株〜

東京IPO編集長 西堀敬

先週「土地デフレ終焉!」なるタイトルが日経新聞朝刊の1面を飾った。

公示地価は、全国平均で16年ぶりに前年比0.4%上昇し、土地に関するデフレは終わったかに見える。

しかしながら、不動産の価格はデフレ終焉どころか、少しバブルに近い状態に近づいている可能性もある。

今日は不動産会社の株式とREITのどちらに投資するかを考えたい。

地価の上昇を先取りする形で、ここ数年上昇してきた不動産会社株の予想PERは、ネットビジネス企業と間違えるくらいまで高騰してきている。

その代表格の2社の予想PERは
三菱地所63倍
三井不動産43倍
となっている。

都心のオフィスビルの開発が続き、大きな収益が見込まれるとの前提があるのだろうが、少し首を傾げたくなる株価水準である。

一方のREITであるが、こちらもここ半年間で株価が50%以上上昇した銘柄が多い。

その中でも上場の歴史の長いREIT2銘柄の利回りは、

三菱地所主体でが運営している
ジャパンリアルエステイト投資法人 予想配当利回り 2.36%

三井不動産が主体で運営している
日本ビルファンド投資法人   予想配当利回り 2.02%

となっている。

このように株式とREITではその価値を測る指標が異なっている。

株式のほうはPER、REITのほうは配当利回りが新聞に掲載されている。

もし株式のほうをREITに合わせるとしたら、配当利回りは次のようになっている。

  PER 配当利回り
三菱地所 63倍 0.31%
三井不動産 43倍 0.29%

この数値を見るととても不動産会社の株式は買えない。

ではなぜ株式がこれほどまでに買われるのか?

もし不動産会社が利益のすべてを配当に回したらどうなるか?

株式益利回りというPERの逆数に%をつければいいだろう。       

  PER 株式益利回り
三菱地所 63倍 1.58% 
三井不動産 43倍 2.32%

2社の株式益利回りを見ると、REITの配当利回りとさほど変わりは無く、PERも正当化されるように思える。

だがここでよく考えないといけないのは、株式益利回りは稼いだ利益を100%配当したときの利回りであるということだ。

企業は100%配当などするわけはなく、内部留保という形で稼いだお金を次なる投資に使っていく。つまり利益を配分するルールは経営状況によって違ってくるのである。

一方のREITは利益を基本的にはほぼ100%配当に回している。

ここまでの話で皆さんは不動産会社の株式とREITのどちらを選択するだろうか。

投資とはリターンを求める行為である。

リターンにはキャピタルゲインとインカムゲインがある。

株式投資の場合は通常配当が少ないのでキャピタルゲイン狙いになるのが当然。
でも、企業収益が伸びない限りは理論的にはキャピタルゲインは得られないということになる。

一方のREITのほうは、利回り商品だけに価格は金利変動によって裁定が働き、価格が変動してくる。今後、金利が上昇してくればREITの価格上昇は難しくなってくるだろう。

昨今のマクロ経済の環境を見るに
金利は上昇
地価も上昇
となれば、利回りの低いREITには少し警戒しておくべきであり、地下の上昇でREITの仕込める物件も高利回りは期待しにくくなってくるだろう。

一方の大手不動産会社は不動産を流通させて鞘を抜いたり、フィーを取ったりする仕組みで儲ける事業である。つまり地価の高騰は扱う物件が高くなり、不動産会社にとっては好都合と言えよう。

同じ不動産を扱う事業であっても、REITと不動産会社の株式への投資は異なることを念頭においておくべきである。

さあ、地価はまだ上がるのか?
金利は上昇するのか?
ここがポイントです。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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