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編集長のジャストフィーリング 〜3月IPO市場総括と4月の展望〜

東京IPO編集長 西堀敬

3月のIPOは23社。上場市場別内訳は、JASDAQ10社、大証ヘラクレス7社、東証マザーズ5社、東証2部1社であった。件数ベースでは昨年3月の20社よりも3社増えたが、市場調達額は465億円と昨年の1,762億円から大幅な減少となった。

昨年の3月は東証1部・2部へのIPOが6社あったことで1社当たりの資金調達が大きくなったが、今年の3月は新興株式市場中心のIPOとなり市場へのインパクトはさほど大きくならなかった。

初値騰落率は2月の20社平均が39.7%、3月の23社平均が40.7%と、昨年188社の平均初値騰落率76.8%からは大幅に低い水準で形成された。

また2月、3月にIPOした43社の公募価格と3月30日の終値を比較すると平均騰落率は36%と初値の水準を割り込んでいる。その中でも16社が公募価格割れの株価水準となっており、IPO株のセカンダリーマーケットでの需給の悪さは昨年から相変わらずである。

そのような悪環境ではあるが、公募価格の2倍以上の株価となっている銘柄が3月IPO企業の中に4社ある。

その企業とは、3月12日に東証マザーズに上場した非接触ICチップによる認証・認識技術を応用したサービスを提供するイーキャッシュ(3840)。

3月14日に大証ヘラクレスに上場したNGN(次世代通信網)に関わるソフトウェア製品の開発・販売・保守サポート及びコンサルティングを提供するネクストジェン(3842)。

3月15日に東証マザーズに上場した日本と中国をはじめとするアジア各国との間の国際貨物輸送事業を営むエーアイティー(9381)。

そして最後は3月19日に大証ヘラクレスに上場したモバイルコンテンツ事業を営むアイフリーク(3845)。

4社のうち3社はIT関連事業者であり、やはり成長性という切り口ではこの分野に市場の注目は集まりやすいと言えよう。

次にIPO株の公募価格バリュエーションについて解説をしておきたい。

冒頭にも述べたように、今年のIPO銘柄43社のうち16社は3月末に公募価格割れとなっているが、この公募価格そのものがここのところかなり低く設定されているようだ。

目論見書に記載のある想定発行価格と実際の公募価格を比較してみると2006年の前半は公募価格のほうが高くなる傾向にあったが、7月以降は半数以上の銘柄が想定予想株価よりも公募価格が低く設定されている。

2007年に入ってからの43社の中で公募価格のほうが高い銘柄が15社、低い銘柄が8社となり、銘柄により強弱がでて来ている。主幹事証券会社はセカンダリーマーケットの株価動向を見ながら慎重に公募価格を設定するようになってきたと言える。

さて4月のIPOだが13社のIPOが予定されている。昨年の4月は日経平均株価が天井を打ち調整局面入りとなったが、IPOのほうは20社で月間ベースの初値騰落率は196%と2006年でもっとも高い水準となった。

例年翌月の5月はゴールデンウィークの関係でIPOの件数が極端に少なくなるために年末同様に需給が好転する傾向にある。従って初値は高騰する可能性が高いがその後の株価は冴えない動きとなる。

幸運にも公募株を取得した投資家は、初値近辺での利益確定が望ましい。一方、初値が高くなったIPO株への投資は少なくとも1ヶ月、注意深く見るならば3ヶ月程度の日柄調整をした後に上場後に出てくる最初の業績発表を確認してからの投資でも十分間に合うはずである。

最後に一言。

IPO株の成長性を買うという投資姿勢は間違っていないかもしれないが、いつ、どのレベルで買うべきか慎重に判断すべきである。「急がば回れ!」のスタンスで望もう。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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