フリービットHPへ
   
フリービット株式会社
(東証マザーズ・3843)
石田社長インタビュー
『ブラウザに頼らないインターネットビジネスを構築した会社』

4月21日(土)のIR会社説明会に出演したフリービットの石田社長の話を聞いて大きな衝撃を受けた。話し終えた石田社長にその場で次回のアポイントメントをお願いして、本日のインタビュー記事を書くことになった。

「日本の個人向けのインターネットビジネスはブラウザの上だけで展開されている!」と聞いたら、読者はどのように感じるだろうか。パソコンユーザーはほぼ毎日「ブラウザ」と「電子メール」の二つのアプリケーションソフトをパソコン上で起動させているに違いない。

日本の名だたるネットビジネスはほぼこの二つのアプリケーションソフトを使って事業化されてきた。Yahoo!Japan、楽天、ライブドア、GMO、ミクシィ、DeNA・・・・他にもオプトインメールや広告代理業など思いつく上場企業はすべてそうである。

ネットの根幹となる技術を開発している日本の企業もないわけではないが、毎月継続的な収入を得るB to Cの事業モデルで個人ユーザーにまで訴求できるようなインターネットサービス事業は見当たらなかったと言っても過言ではなかろう。

3月20日に東証マザーズにIPOし、自らの事業モデルを「B to C via B」と名づけたフリービットの石田社長にお話をお伺いした。

事業内容

当社はインターネットビジネス支援会社。

特許技術をはじめとする独自の技術と、自社で有するサポートセンターやデータセンター等のオペレーション機能を組み合わせることで、多様なインターネットサービスをワンストップで提供する。

インターネット接続事業者へネットワークインフラの提供を行う「ブロードバンド化事業」で提供社数ベース国内トップシェアまで成長し、現在は、急拡大中のマーケットに向け「ユビキタス化事業」に力を注ぐ。

総務省「情報通信白書」によると、平成22年には87.6兆円の市場規模に達すると予想されているユビキタスネットワーク関連市場。ユビキタス(ubiquitous)とは、「至る所にある」「偏在する」という意味を持つ言葉で、ユビキタスネットワークとは、あらゆる場所、あらゆるモノがネットワークに接続され、時空間を超えて通信できる世界を指している。ブロードバンド化が社会に浸透し、高速・常時接続が安価で実現可能になった通信の分野が、次のステップとして目指す世界である。

当社はその基盤となる環境(プラットフォーム)を、技術ライセンス又はサービスとして機器メーカー等に提供している。

具体的には、インターネットサービスに必要な“コアコンポ−ネットAPI(重要部品)(詳細は→http://www.freebit.com/profile/business.html )”をプロのIT企業に提供しているのである。

その中でも今後の事業の柱になっているのは「Emotion Link」という技術。現在のインターネットシステムでは、端末同士を新たにプライベートなネットワークで接続しようとする場合、専用回線・専用機器の施設工事や、暗号化システムの構築等を避けられなかった。なぜならインターネットがつながる前提として、ネットワーク環境に依存する部分が非常に大きいからである。

しかし当社の技術は、既存のインターネットの上に仮想的なインターネットを架設する“OverLay Internet(詳細は→ http://www.freebit.com/el/index.html)”プラットフォームを利用することによって、ネットワーク環境の差異、各通信会社が利用している機器や環境の違いを乗り越えての接続を可能にした。つまりこの技術を用いると、新しいサービスを導入する際、専用の機材を購入したり、システム開発したりせずに、専用のネットワークが構築できるので、その応用範囲は広いと考えられる。

例えば当技術を用いたオフィスや集合住宅向けのIP電話サービス「IPビジネスホン」は、導入・運用における手間とコストの大幅削減に成功したため、すでに学生・社員寮最大手の共立メンテナンスで全面採用されている。 当社の技術が導入時の構成やネットワーク設計などを容易にし、通常のIP電話を導入するコストを半分にまで引き下げている。現在300拠点2万5,000台が稼働中だ。

その他にも、オムロンとのホームセキュリティ商品の開発や、勘定奉行のOBCとのUSB型VPN接続アクセスキー等、各分野のパートナー企業との連携により、次世代型の製品を次々に発表している。

収益構造は、「ハイブリッド課金」型。製品を販売するパートナー企業へ当社の技術を切り売りするのではなく、製品の末端ユーザー数に応じて課金を行っている。主にライセンス等の初期費用として導入費を得て、その後継続利用の課金を得るという仕組みで、当期1月までの実績値ベースで、売上高の87.9%を継続課金が占めている。つまり当社のコアコンポーネントAPIを使っている製品が世の中に普及すればするほど毎月安定した収入をえることができるのである。

設立経緯

石田社長は、慶応大総合政策学部在学中から、インターネットを世間に広げようという活動を開始し、95年(3年生時)に有限会社リセットを資本金300万円で設立。当時から感じていた使命を、現在も実行し続けている。リセットで毎日新聞社を口説きブログ本の先駆けのような雑誌を発行したことをきっかけに、三菱電機グループより声がかかり、プロバイダーDTI(ドリーム・トレイン・インターネット)の立ち上げプロジェクトの業務委託を受けることになる。

当時IT時代が叫ばれてはいたが、まだインターネットは高価格であったり、低クオリティーであったりと、内実世間に普及するに足るようなプロバイダーは存在していなかったという。依頼を受けてから約4年半に渡り、本当に良いプロバイダーを作りたいという思いで奔走。苦情などのユーザーメールを20万通読み、「事業は農業である」という考えを叩き込まれたという。

DTIは98年から2年間顧客満足度bPという評価を獲得、後にナスダック・ジャパン上場に至るのだが、しかし石田氏は、上場準備が整ったのを期に2000年3月末に退社。DTIのさらなる成長を追うか、インターネットの普及という使命を全うするかを悩んだ末の起業だったという。2000年5月、ナローバンド時代の無料ISPのアイディアを持って当社を設立した。

今後について
2007年4月期の売上は前期比17%増、経常利益は163%増を見込んでいる。ブロードバンド化事業の安定と、成長期に入ったユビキタス化事業によって増益となる見込みだ。事業規模を大きくして、まずは売り上げ100億円を早いタイミングで目指したいと話す。1部市場への上場も当然視野にある。株主還元に関しては、なるべく早期に配当を出したいと考えている。

業績(連結)の推移(百万円)
決算期
売上高
経常利益
当期利益
純資産
2004/4
3,974
355
203
573
2005/4
3,561
-277
-454
339
2006/4
3,712
87
88
1,205
2007/4(予想)
4,372
232
220
-

(注)2007年4月期の数字は会社発表業績予想


■西堀編集長の視点

とうとう通信の世界もここまで来たか・・・と感慨深くなってしまった。通信の世界では音声とデータは別物であった。ところがデータ通信の延長線で音声までもが全世界を駆け巡る時代となってきた。身近な世界で言えば、オフィスで電話線とパソコン用の社内ネットワーク回線が2本必要であったが、今後は1本ですべてが終わる時代となってきたというわけだ。

ユビキタス時代が到来すると言われ出して久しいが、我々はユビキタスを実感することが出来なかった。個人の家庭においてもフリービットの技術を生かした製品が導入されて、やっと我々の生活を変えていくことだろう。

新しい技術に裏打ちされた製品やサービスは必ず既存の製品やサービスを脅かすものである。フリービットの技術を使えば色々な業界が大きな改革を迫られるような気がしてならない。

ブログやSNSなど参加者がコンテンツになるブラウザベースのビジネスを第三世代のネット企業とメディアは呼んでいるが、ブラウザを超越したところに新しい価値を創造するフリービットにこそ明日のインターネット事業があるよう思える。

社会が無視できない存在。今の新興株式市場は、まさにそのような存在を求めているのではないだろうか。


 企業DATA    フリービット株式会社
□証券コード 3843・マザ株価情報へ
□ホームページ http://www.freebit.com/
フリービットの開示情報をメールでお届けします。(無料) ご登録はこちらから

※掲載記事は、個人投資家の皆様に企業情報を収集していただくためのものであり、決して個別企業の株式購入を推奨するものではありません。
※当サイトに掲載された記事・データ・画像・写真等の無断転載は、 目的の如何にかかわらず、固くお断りいたします。

(c) 1999-2007 Tokyo IPO. All rights Reserved. Unauthorised copy of this page and its data is prohibited. 東京IPOホームページへ