昨日のコラムでドイツ証券の武者氏の好都合な真実について解説したが、個人投資家の皆さんにとっては不都合な真実が存在しているはずである。
それは昨年のライブドアショックに始まった新興株市場不振による株価の含み損を抱えていると言う真実である。
武者氏のようについこの間まで「株はこの先危ない!」と警鐘を鳴らしていた人が、最近になって「青天井、青信号死角なし!」に変わったとすれば、さほど含み損を抱えていないはずである。
なぜなら株式そのものをそんなに保有していなかったからである。
ところが、ほとんどの個人投資家は多かれ少なかれ新興株で含み損を抱えていることだろう。
その不都合な真実をどのように克服していくべきか?
まず歴史的に長い時間軸で相場を振り返れるJASDAQ上場株の加重平均予想PERを見てみる。
1985年以降で予想PERが20倍を割り込んでいるのは、山一證券、拓銀、長銀などが飛んだ1997年、1998年、その次はネットバブル崩壊後の金融制度の破綻懸念が最高潮に達した2002年、2003年の2回のみである。
今回の20倍割れ水準は株価面で本当に底入れした水準といえるのか。
日柄はどうだろうか?
ネットバブル時を振り返ると、日経ジャスダック平均は2000年2月に高値を付け、2002年12月に底入れしている。
ちょうど22ヶ月を要している。
今回は新興株式市場の相場のピークは2006年1月だった。
それからちょうど17ヶ月目をいま迎えたわけだ。
あと5ヶ月の辛抱と見るべきなのか、もうそろそろと見るべきなのか・・・
因みにもう一回り前のバブルを振り返ると、1990年7月に高値を付けた日経ジャスダック平均は1992年11月に74%の下落を伴って底打ちしている。
そのときは16ヶ月目でいったんは底打ちしたわけだが、値幅の調整がまだ中途半端だった。
底打ちしたときのPERはまだ30倍と高かったことで1997年に向けて長い下り坂を降りていくことになる。
そしてPER20倍割れで完全なる底打ちとなったのである。
日本経済が落ち行く過程にあると見るか、それとも好調を維持できると見るのか?
それによってPER20倍は評価が変わってくるはずだ。
武者氏の見方の好都合な真実のみを信じるならば、内需中心の事業を展開するJASDAQ企業もグローバルビジネスを展開する企業の恩恵を受けるはずである。
ならばPER20倍割れは割安と見るのが妥当ではないだろうか。