ここのところ雨は降るが日本の梅雨とは言いがたい天候が続いている。
夏が苦手な私にとっては蒸し暑い日本の梅雨とは違って少し気温が低く傘を差すまでもない霧雨のような天候は非常に過ごし易い。
この季節には似つかわしくない天候はまるで日本の株式市場そのものを表現しているように見える。
市場を覆っている霧を作っている背景は、参議院選挙での自民党の大敗予測、日銀の利上げ観測が挙げられる。
その霧を晴らすことができるのは、3月決算企業の第1四半期決算発表ではないだろうか。
これらのイベントを時系列で見ると、以下のようになっている。
7月30日 |
参議院選挙結果 |
8月3日 |
第1四半期決算大勢判明 |
8月22・23日 |
日銀金融政策決定会合(利上げ決定?) |
この中で結果が読めないのは、参議院選挙の結末くらいだ。
企業業績に関して言えば、グローバル経済の成長の恩恵に預かっている大企業は為替の追い風もあり、年間の業績予想を上方修正しないまでも第1四半期の数字が通期業績予想の25%以上の達成率を出すのは発表を待つまでもないだろう。
日本はかなり前から「経済は1流、政治は3流」と言われているが、今回の参議院選挙の結果がどうなろうとも、トヨタ、キヤノン、新日鉄などの業績に与える影響はほとんどないはずだ。
とは言っても、2005年夏の郵政民営化の是非を問う衆議院選挙で自民党が大勝して、日本の改革がより進展すると考えた外国人投資家の買いで株価は8月中旬から年末にかけて大きな上昇相場を演じたと考える個人投資家も多いはずだ。
しかしながら、当時を振り返ると、その裏には企業業績がしっかりと着いてきていたことを忘れるべきではない。
今回の参議院選挙の結果は国民の人気投票に過ぎず、日本という国が大きく変わるターニングポイントになると考えるべきではないだろう。
また日銀の政策金利上げについてはタイミング待ちだけで、年内に利上げが実行されないなんていう意見はどこにも見当たらない。株式市場はすでに織り込み済みと考えていいだろう。もちろん、利上げ決定の瞬間は為替が動き、株価に影響を及ぼすことは否定できないが、株価のトレンドを大きく左右するものではなかろう。
このように考えると、今日のような株価の下げは仕込みの絶好のチャンスとも考えられそうだ。
因みに、外国人投資家は7月第1週に三市場1部・2部で4,700億円、JASDAQ市場4,200億円、東証マザーズ4,400億円とそれぞれ買い越しであった。
3月決算企業の第1四半期開示はすでに今週から始まっている。来週になると、ホンダ、日産、松下、アドバンテスト、シャープ、エルピーダなどの数字が出てくることになる。
大勢を決するのは8月第1週になるだろうが、結果を待ってからでは投資は遅すぎるのである。
霧雨が晴れるのを待つのではなく、条件が揃っていると見れば、霧雨の中を突き進む勇気も時には必要であることを忘れないようにしよう。