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2007. 8 20 No.525



『 未体験ゾーンに突入 』 

 

今日の東京市場は予想通りの展開となった。

金曜日に投げた投資家は「無念・・・」としか言いようがない。

ここ数週間の株式市場の展開は過去の経験側に従えばあって当然の動きであった。

世界的な過剰流動性の行き過ぎの反動とでも言ったほうがいいだろう。

今回の世界同時株安の発信源でもあった米国はその流れをくい止めるために緊急処置として金曜日に公定歩合を引き下げたのである。

そして米国がとった処方箋は功を奏して、欧米ともに株価は反発し、東京を含むアジアの株式市場も空売りの買戻しもあって大きく株価は戻したのである。

ではここからの日本株の展開はどうなるのだろうか?

少し視点を変えて市場経済の動きを見ていく。

本日の日経新聞の1面によると2007年3月期の国内上場企業500社の営業利益は18兆5810億円。そのうち5兆7390億円が海外営業利益で前期比20%増となっている。因みに国内営業利益は12兆8420億円で前期比12%増と好調である。

海外営業利益の地域別内訳を見ると、米州40%、アジア・オセアニア30%、欧州17%の順となっている

この数字の大きさを見ると、米国の景気が弱含んでくると日本企業も大きな打撃を受けそうに見える。  

つまりここ数年の日本企業の好調さも米国の景気に後押しされていたと考えて、今回のサブプライムローン問題が発端となって営業利益の伸びが鈍ると考えるのがいままでのパターンである。

ところが、営業利益の貢献額ではなくて、それぞれの地域の伸び率で見ると、少しまた景色は変わってくる。

営業利益の伸び率は米州+14%、アジア・オセアニア+13%、欧州+50%となっている。欧州は為替で円安がかなり追い風になったと言える。

今後の展開を考えるときに、日本の米州依存の体質がどこまで薄れていくのか?が非常に重要になってくるはずである。

EU統合で経済圏がどんどん東に伸びていく欧州。  

世界人口全体の4割を占める中国とインドの近代化で経済成長が見込まれるアジア。

そしてグローバル経済の拡大で資源高は必至と見れば、中東とロシアは今後そのプレゼンスは増してくるに違いない。

とすると政治的なパワーバランスは別としても、米国はグローバル経済の拡大に占める貢献割合は年々縮小していくと見るべきであろう。

とするならば、今後、米国の景気が多少減速したとしても、日本企業の利益はその他の地域での伸び率と相殺されて影響は軽微となる可能性は高い。

むしろ米国以外の地域の経済成長が日本企業の成長ドライバーとなる可能性が大きくなってくると考えるほうが妥当ではないか。

過去数十年間の米国を中心としたG7参加国が世界経済の舵取りを行ってきた時代は終焉を迎え、世界経済は今までの処方箋がまったく効かない未体験のゾーンに入ろうとしているのである。

もう一度、事実を並べる。

世界の人口は増え、新興国は近代化で経済は成長し、そのため資源は不足し高騰が続き資源国が潤う、という構図は変わらない。

 

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東京IPO編集長 西堀敬  column@tokyoipo.com