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『すべてはゴミひとつを拾い上げることから始まる』 |
書店の資産運用のコーナーで「アパート経営で年収数千万になった」なんてタイトルの書籍が目立つようになってきた。 そのような書籍を買って読んでみると、中古のアパートを買ってリノベーションをやって付加価値を高めて賃貸する手法がとられているケースが多い。 |
![]() 当社はアパート・マンションや駐車場の管理運営をメインとした不動産事業を展開する会社。 設立当初から培ってきた不動産の管理運営ノウハウを柱に、住宅の開発販売や仲介コンサルティングも手がける。物件や土地を所有する個人オーナー顧客は約450名で、東京・千葉を中心に現在は住宅で4000室、駐車場3000台以上の管理を受託している。 当社の強みは売上げの6割を占める徹底した管理運営事業。実績を積み上げ今期で21年目になる。毎月写真付きの丁寧な管理報告書を作成し、信頼関係を築いた不動産オーナーから様々な相談を持ちかけられることが多くなった。相続税対策にマンションを持ちたいが手ごろな物件はないか、土地を手放したいが買い手はいるか、時には立ち退きや借地交渉など、オーナーを悩ませる問題も多い。そういった不動産管理に纏わる周辺業務も揉め事にならないようプロフェショナルとして対処している。 アパート・マンション管理の場合、4割は借り上げのサブリース契約の満室保証となる。その場合の当社の収益構造であるが、例えば100万円でオーナーと契約した場合、107万円で入居募集、オーナーからのサブリース手数料分7%と併せて粗利が12〜14%となる。残り6割は集金管理物件で手数料は5%である。駐車場管理については、将来的に建物を建てた後の管理運営を受託できるのが狙いでもある。 また5箇所のリーシング店舗では、新築だけではなく受託出来そうな空き物件を足で探す営業もあるという。5万円程度の1室の空き物件の募集・管理から始めて、当社の徹底した仕事ぶりが評価されれば最終的にはオーナーから1棟を任される。そしてオーナーの信頼を得れば次の受注へとつながっていくのである。 不動産管理をメインで行う一方で、5年程前からスタートした開発販売事業も好調だ。先鋭の建築家とのコラボレーションで建てるというお洒落でユニークな物件は、20代後半から30代をターゲットに、“ライフスタイルに合った居住空間の提案”という切り口で開発を行っている。例えば1階がバイクガレージになっている3階層タイプのバイカーズマンションや、週末にセカンドハウスとしても利用できる駅から離れたウッドバルコニー付きの部屋など、普通なら住宅を建てにくいような比較的安価な土地でも、当社独自の開発スキルで付加価値をつけて人気の部屋へと仕上げている。 開発物件の売り先もほとんどが既存のオーナー顧客である。土地を購入して建てた物件も、早い段階でオーナーへ売却し、その後は必ず当社が管理を請け負うというシステムをとる。自社で不動産を抱えていくようなビジネスモデルではなくあくまでも管理・運営の会社である、という自覚を忘れない。管理のプロという認識を貫くことは、入居者の満足が得られる事はもちろん、開発販売事業においても買い手との信頼関係の基盤となっているという。 現状、高利回りで出回っている不動産でも、2年目以降一気に利回りが落ちるようなケースも少なくない。しかし継続的に管理を担うという事は、販売後は5年、10年、20年とオーナーとの付き合いが続くため、無責任な販売が出来ない仕組みというわけである。 何より開発事業の一番の基本は、入居者に喜ばれる物件だという。オーナーにとっていかに高く売れるかではなく、入居者目線で開発してこそ結果的に家賃のとれる満室のマンションが出来上がる。これも管理業務で体得した、人気が集まる造りや物件の相場観から得た知識だ。 当社の事業は全て管理運営につなげていくためのチャンネルとしてあり、管理運営のノウハウと徹底が柱となってビジネスが広がっているのは間違いないだろう。 |
向井山社長は、大学卒業後の91年に(株)スリークォーターという20人規模の千葉のディベロッパー会社に入社。現在のような人材売り手市場の時期だったが、社会人になって3年くらいで実力をつけたいという思いで小さな組織を選択したという。一部で賃貸管理を行っていたことがきっかけとなり、93年にはその事業を引き継ぐ形で当社を買い取った。社長業は2000年からだが、当社の経営への関与は14年と長い。 開発販売事業に関しては、12坪の土地を買って欲しいというオーナーからの話がきっかけ。当時企画には全く手を出していなかったが、次第に蓄積されていくノウハウの中で物件を見る目が養われ、ディベロッパーの造る建物に対して、気付きの積み重ねがあったという。もっとこうすれば入居者も集まるし、家賃も取れるのに、という思いが次第に強くなっていた。 |
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本人も一級建築士の資格を持つが、社長業に就いてからは具体的なプロセスには介入することはなく、特に若い社員の感性を育てることに注力している。ただし当社の管理・運営マインドを全社員に浸透させる為の掃除は徹底して毎朝行う。また、月に1度は軽トラックに乗って管理物件の清掃を、専門の部署の者だけでなく全員に経験させる。担当している物件を肌で感じさせ、管理を行う会社として清掃の意識を高めることが、当社の基本であり社長の信念となっている。 |
利益ベースで毎年30%成長が目標。もちろん一部上場も目指す。株主還元は、なるべく早く配当の実績を作りたいと思っている。売上げの成長規模としては、100億円は5年かからずに突破していきたい。だが売上げを伸ばすと同時に利益の成長も出るよう堅実な経営を目指す。これからもワンルームマンションの管理なども多い為、若い社員の“自分だったらどう思うか”という感性や自由度の高い発想を大切にしていきたいと話す。 |
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(注)2007年10月期の数字は会社発表業績予想 |
■西堀編集長の視点 |
マンション・アパートにカーテンがない、洗濯物が干していない、そんな部屋を見つけるとオーナーを尋ねて管理を請負わせて欲しい、とお願いするのがアールエイジの営業のスタイル。非常に泥臭い営業が基本となっている。 そんな現場主義の会社だけあって、本社の管理部門の社員も月に1度は管理物件の掃除に出かけるそうだ。社内にゴミがひとつでも落ちていたら拾い上げることがマンション・アパートの管理の基本だそうだ。その意識が薄れると当社のサービスの質が落ちることに繋がると向井山社長は危惧する。 不動産管理事業はマンション・アパートの建設や開発を行う事業者の付随的な業務という色彩が強いが、アールエイジはそのニッチな部分から成長してきた異色の企業である。 マンション・アパートの1戸から管理を請負うという管理専門会社は今までに出合ったことがなく、まさかそこを本業としてIPOしてくる企業が出てくるとは想像もできなかった。 筆者が思うに、売り手の論理ではなくて、まさに入居者の目線でサービスを提供できることがアールエイジの強みとなっていると考える。 投資家の視点で見ると、ゴミひとつを拾い上げるこだわりが社員全員にある限りアールエイジの成長は保証されていると考える。筆者はどの不動産が当社に管理されているのか知る術もないが、もし管理物件にゴミが散乱していたらそれは黄色信号点滅ということだろう。 もし読者の中に保有されているマンション・アパートの管理でお悩みの方がおられたら是非一度ご相談されてみてはいかがだろうか。 |
企業DATA
株式会社アールエイジ |
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□証券コード | 3248・マザ![]() |
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□ホームページ | http://www.early-age.co.jp/ | ||
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