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2008. 2. 12 No.574



『 愚民と言わずに愚策を省みろ! 』 

 

先週金曜日のマネックス証券松本社長のブログにまったく同感。
http://ameblo.jp/monex-oki/day-20080208.html

経済産業省の北畑事務次官の発言は以前から気になっていた。

同次官が2008年1月25日に行った講演で、インターネットで短期的に株売買を繰り返すデイトレーダーや投資ファンドについて「最も堕落した株主」「バカで浮気で無責任」などと発言したそうだ。

いまや日本の個人投資家はインターネットで株式売買する人が8割超となっているが、そのほとんどは短期売買中心ではないだろうか。

会計の世界では1年という時間軸で短期と長期を区別しているがもし1年未満で反対売買する投資を短期と言うなら、世の中の売買のほとんどが短期と言えるのではないだろうか。

東京IPOではIPO TactiXで大口投資家の売買を追いかけるツールを昨年から公開している。

その大口投資家の売買の時間軸を見ると1年以上にわたり特定の銘柄を買い続けている投資家はそう多くはない。

株価はいろんなファクターで動くものである。昨年の夏からすでに日経平均株価は三分の二になってしまっている。ぼやぼやしていたら株価が半分になってしまったなんてこともある。

自らの資金で一度でもいいから株式投資をしてみれば、投資で利益を出すことの難しさがわかろうと言うものだ。

むしろ北畑氏が非難しているスティールパートナーズのほうが外部環境の変化も気にせずに長期投資に徹している。

たぶん北畑氏が言いたいことは、いかなる投資家も「企業にモノを言うな!」「企業の管理・監督は我々がきっちりとやっているので大丈夫!」ということではないだろうか。

きっちりやっているなら、どうして日本の企業の経営指標は欧米の企業に比べて見劣りするのだろうか。

また一人当たりのGDPでもいつの間にか世界で18位(2006年)にまで落ち込んでしまうようなことになるのであろうか。

霞ヶ関のエリート官僚が企業を指導するのは構わないが、グローバルな競争力の向上や世界中の投資家が魅力を感じる事業体が少しでも増えるようなことに苦心していただきたいものである。

筆者も言い過ぎかもしれないが、税収と赤字国債、そして郵貯の横流し資金で国政を賄ってもらっている官僚こそが日本の構造改革推進に横たわる大きな障害であると考える。

国と地方の債務がGDPの150%になっている今日において、年金給付開始年齢の引き上げ、消費税率アップなどは必然と見るべきであり、国民がいかなる方法で自らの資産を増やそうとしても、それは非難されるべきものではないはずだ。

貯蓄から投資への大号令のもとたとえ短期売買であれ株式投資を行う日本国民を愚民と呼ぶ前に自らの愚策を省みていただきたいものである。

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東京IPO編集長 西堀敬  column@tokyoipo.com