『携帯電話が代替する市場に注目!』 |
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事業内容
当社は、モバイルサイト(携帯電話専用ウェブサイト)の企画・制作・運営を通じて、楽曲や動画等のコンテンツ配信や、モバイルに特化した広告事業を行う会社。 主力となっているコンテンツ・メディア事業では、“ベストヒットシリーズ”として、音楽・動画・電子書籍等の配信を行っている。会員数は2007年12月現在約49万人で、40〜50%の粗利率。現在は主要3ジャンル51サイト(音楽35、動画6、書籍10)を運営し、特に動画コンテンツの拡大と普及を目的にIPOを果たした。 第3世代携帯と呼ばれる今の端末において、モバイルコンテンツ市場は年々成長し続けている。特に有料音楽配信市場は07年の1年間で約680億円※という規模。全盛期から大幅に縮小したCDシングル市場は約469億円※にとどまっている点を鑑みても、携帯電話で音楽を買うという消費行動は若い世代にとって当たり前になったといえる。 当社の場合、携帯電話で音楽のCD音源をそのままダウンロードして視聴できる、いわゆる「着うた」「着うたフル」といったコンテンツに参入したのは2005年。すでに他社が2002年には事業を開始しており、完全に後発組としてスタートした。現在も(株)エムティーアイや(株)ドワンゴといった業界大手を筆頭に競合は多く、当ビジネスを手がける上場企業は全部で15社程という。このような環境で当社は独自の戦略で着々とマーケットシェアを伸ばすと共に、次世代のインフラが整った際のシェア獲得を目指し、動画コンテンツにも注力してきた。 競合他社の多い分野で独自のポジションを確立するための戦略として、これまで特に意識して取り組んできたポイントは3点。「権利獲得の営業強化」、「ROIを追及した販促」、「専門サイトの品揃えの充実」である。特に権利の獲得は今後モバイルコンテンツの内容が益々リッチなものになるにつれ、動画配信を視野に入れる当社にとってはなお重要になるという。権利に制限されずに、複雑になっていくコンテンツの発信を可能にするという点はもちろん、権利を獲得すればサブライセンス(獲得した権利をさらに第三者に許諾する)を行って収益を得る場合もある。 また、独占配信を行う場合は仕入れの際に権利元に多額のミニマムギャランティーを支払う必要があるが、当社は独占契約へのこだわりはない。1曲でも多く売りたい、というスタンスに立ち、売れた分だけの支払いという契約がほとんど。これまでに扱いの少なかった洋楽やトランス、インディーズなどの音楽も顧客のニーズに合わせてシリーズ化し、ロングテールでの販売機会も開拓している。その為当社のユーザーは、10代が20%、20代が40%、30代が30%と、比較的高い年齢層から支持を得ている。さらに10代へのプロモーションを上手く行っていくことで、今後もシェア拡大の余地は十分にあると考えている。 事業別の売上高の構成比は、コンテンツ・メディア事業と広告事業で約7:3。(07年9月期時点)広告事業の粗利率は7〜15%。モバイル専門のアフィリエイトやメディアレップ等を手がけ、兄弟会社である(株)セプテーニが全体の売上げの46%をあげている。また、当社はミクシィモバイルの広告枠を作ったという実績があり、枠を一部買取っている為、全体の約50%はミクシィの広告枠による売上げとなっている。 |
設立経緯 小林社長は、(株)リクルートに7年間勤務し、求人広告営業やフランチャイズのオーナー募集、企業家情報誌「アントレ」の創刊などに携わってきた。 |
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一方、当社の原型となる会社は94年に設立されている。セプテーニグループとなった2000年当時、現小林社長は非常勤の取締役として関わっていた。 |
今後について 携帯の音楽配信では後発組だった当社にとって、動画配信で他社に先行したいという思いは強い。
これまでCDシングルの市場が着うたフルに代替されてきたが、次はDVDレンタルの市場が携帯動画へと移行していくだろうと小林社長は考える。レンタルDVDのように数百円という小額決済もモバイルには最適である。現状で手ごたえを感じているのは、固定ファンの多いアニメや格闘技。まだ約4千人の課金数だが、すでに黒字化している。 |
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株主還元 配当性向15%程度を継続中。これからの事業拡大に伴って還元率も高めていきたい。 |
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業績(単体)の推移(百万円)
(注)2008年9月期の数字は会社発表業績予想 |
■西堀編集長の視点 |
テレビの登場、ビデオの登場、パソコンの登場、インターネットの登場、常に後から登場するものが先に登場したデバイスの市場を食い荒らしてきた。そして携帯電話が登場してその機能が進化するたびに今まであった電子デバイスの機能を大きく侵食することになっていることは読者の皆さんも周知の事実である。 過去を振り返ると技術の進化は我々の生活も大きく変化させてきた。またそれがライフスタイルにも大きく影響を与えている。携帯電話の登場でコミュニケーションの手段が変化しただけでなくテレビやネットによる動画エンターティンメントの世界も大きく変化しつつある。 アクセルマークが目指すケータイ動画配信事業は電子デバイスメーカーだけではなく、動画のコンテンツサービスの提供する各種業界さえも脅威と感じさせることだろう。おまけにコンテンツの権利獲得に強みを持つようになると業界では始末に終えない存在となってくるに違いない。 投資家にとってのアクセルマークの見方であるが、当社の事業はある売上を超えると、売上の伸び率よりも利益の伸び率が高くなるビジネスモデルである。つまりスケールメリットがとれる事業であるということだ。デジタルコンテンツの配信事業の成長は当社の利益をかなりレバレッジさせることは間違いないと見ている。 とは言え、このまま当社が成長し続けると、市場が当社の存在を脅威と感じるようになり、いままでの成長とこれからの成長を比べるとそのハードルの高さは桁違いとなりそうだ。その意味で有限実行の人物である小林社長の真価が問われるのは、会社を引き受けてIPOした過去の5年間ではなくて、上場時に描いた2010年以降のアクセルマークの成長物語になるはずである。チャレンジ精神旺盛な小林社長に更なるアクセルマークの成長を託したい。 |
企業DATA
アクセルマーク株式会社 |
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□証券コード | 3624・マザ | ||
□ホームページ | http://www.axelmark.co.jp/ | ||
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