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1月12日の日経新聞1面に上場廃止基準緩和の記事が出ていた。

その後を追うように1月13日に各証券取引所が「上場株券に係る時価総額基準等の取扱いについて」というタイトルで正式に発表を行っている。その詳細は各証券取引所のホームページを参照頂きたいが、今回の緩和措置に対して少し私見を述べておきたい。

1999年に新興株式市場の東証マザーズ市場、2000年に大証ヘラクレスの前身であるナスダックジャパン市場が設立されて新規上場のハードルがかなり低くなった。

そしてジャスダックを加えた新興三市場が揃った2000年以降2008年までに新規上場した企業数は1308社あるが、2008年12月末に上場を維持しているのは1163社と145社が株式市場からその姿を消している。

非上場となった理由としては上場廃止基準に抵触したからという理由だけではなく、単純に非公開化した企業、親会社が吸収合併した企業、他社との合併なども含まれる。

そして2008年12月末に上場している1163社の中には時価総額が5億円未満の企業が約100社ある。

この100社は時価総額基準に抵触している、もしくは抵触寸前の企業群である。
それらの企業の事業内容や業績を見るとこのまま上場していても成長路線を歩むにはかなり無理がある企業が多い。

上場維持をするために時価総額の回復を目論んで第三者割当増資をする企業も散見されるが自己資本を積み増しで上場を維持しても投資家が見向きもしなければ上場している意味はないと考えられる。

先の東京IPOマンスリーレポートでも述べたように、上場の目的とは株式市場における資金調達であり、上場維持とはその株式を保有する投資家が株式の流通を円滑に行うためのものである。

資金調達という意味合いにおいて発行体である企業と同等の立場にある投資家の視点で上場を考えれば、上場企業は株主である投資家がリターンを目的に投資活動を行う対象であり続けなければならない。

さもなくば上場企業として存在し続けることに意味はないと判断されてもやむを得ないはずである。

そのような観点を抜きにして形式基準で時価総額という数値でもって上場の可否を判断することにはかなり違和感を覚える。

いまや証券取引所も営利企業であり上場企業数を維持することで収益機会を確保しなくてはならないと考えるのもやむを得ないかもしれない。

ならば証券取引所の受け持つ株式の流通機能の観点から流通に値しない企業をそのまま上場維持し続けることには経済合理性がないと考えなければならないはずだ。

スーパーマーケットで言えば、ほとんど売れない商品を陳列しておくのではなく、売れない商品を外して売れ筋商品を考慮した棚割にしなければならない。
スーパーマーケットの商品と上場会社を一緒にするな!とお叱りをうけるのを覚悟で言えば、上場企業もスーパーマーケットの商品同様に多産多死でいいのかもしれない。

会社の寿命は30年という本があったが、時価総額基準等の側面だけで測るのではない上場企業の寿命もあってもいいのではないだろうか。 

私は、資本主義の産物である株式会社は事業を営んでそこから生まれる利益を株主に配分するための器であると考える。

時価総額云々で上場廃止基準に抵触した企業は、利益を圧縮しているだけで何もメリットのない上場ならこの際しっかりとその経済合理性を考え直すべきではないだろうか。

上場企業は上場企業でなくなってもその社会的存在が否定されないのであればわざわざ高い上場維持コストを払ってまで上場維持し続けることはないと考える。

最後に上場企業の経営者にお願いしたい。上場維持・廃止は証券取引所の基準ではなく自らが決断をしていただきたいものである。

東京IPO編集長 西堀敬
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