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『趣味が転じてネットビジネスとなる』 |
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![]() 当社はSNSサイト「GREE」の運営を行う会社。 SNSとはSocial Networking Serviceの略称で、「会員登録をしたユーザーがプロフィールページを作り、親しい友人とのコミュニケーションや、信頼するメンバーとの情報交換を楽しむことができるインターネット上のコミュニティ型サービス」(当社目論見書)のこと。国内では、当社の他に、06年に上場した「mixi」が有名で、特に携帯電話でインターネットを日常的に利用する若者にとっては、ごく一般的なサービスとして認知されている。当社のユーザー属性を見ると、10代以下=27%、20代=37%、30代=24%(09年2Q時点)と20代・30代を中心に利用者は広がっている。 SNSは2003年頃に米国各社から誕生していったのが始まりといわれるが、ほぼ同時期に田中社長が独力で「GREE」の開発をはじめている。04年2月のサービス公開後は、パソコン上の会員数が1ヶ月で1万人にのぼり、06年にモバイル向けサービスへの展開を始めて以降飛躍的に伸び続け、昨年末には800万人を突破した。 同業他社は広告収入をメインとするモデルであるが、当社の収入は約75%がユーザーからの課金、約25%が広告(09年2Q時点)となっている。当初は広告収入モデルを想定していたが、個人課金が可能なモバイルへ注力する過程で2本の柱を持つことになった。 田中社長にとってこの個人・法人両方からお金をもらえるビジネスモデルは、環境の変化に応じて収益面で補い合うという点はもちろん、サービスの在り方としても重要と考える。課金に依存して個人に寄り過ぎたサイトになることも、広告優位で個人に敬遠されるサービスになる危険性からも免れられるからだ。 個人ユーザーへの課金内容は、ゲームをより楽しむためのアイテムを入手する費用など。当社はSNSとゲームの融合を最大の強みとしており、対戦型ゲームやネット上での交流を軸にしたコンテンツなど、携帯電話ひとつで楽しめる新しいエンターテイメントを根付かせた。ユーザーは無料会員から、上限の月額30万円の利用枠を使い切る会員まで様々。課金対象となるゲームは一種のレジャーという感覚で、いつでもどこでも楽しめる手軽なエンターテイメントとして、映画やカラオケに行く代わりにGREEで楽しんでもらっている。 また広告収入は、昨今の景気悪化においてもモバイル中心に堅調に推移している状況。人材・金融・不動産といった業種の広告は減少したものの、広告業界全体の、他の媒体からインターネット広告へという流れはまだまだ続いている。 今回のIPOは、当面の運転資金獲得、広告宣伝費、データセンターやパトロールセンターへの設備投資を主な目的として行った。設立後の2年間でモバイルへの展開という方向性を定め、06年7月にはKDDIより資金調達を行っているが、その後順調に会員数、売上ともに伸ばす一方で、テレビCMや社員数増加(07年度46名、08年度74名、現在86名)というコストも増加している。なお09年2Q時点の営業利益率は63%。 |
個人の趣味から始まったサイトが、あっという間に会員数を伸ばし株式会社を設立したのが2004年12月。今期は通期予想で売上高112億円を発表するまでに成長したが、設立者の田中社長は社会人10年目の32歳である。 |
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これほどまでに会員数が伸びた背景には、インターネットの浸透とともに利用者側の価値観の転換があったからだという。以前からSNSに比類する概念は存在しており今日まで細分化と変化の道をたどってきたが、03年より前は一部のマニアだけのものであった。それが、一般ユーザーへのインターネットの普及にしたがって、メールをやりとりする感覚で、日常生活で接している人同士や顔見知りの人が実名でSNSを利用したりという流れが広まり、マニア以外の一般的な利用者に受け入れられるようになったのである。 |
現在は“SNS+ゲーム”という分野で圧倒的なポジションを築いた。今後は新しい“SNS+α”の展開を視野に入れながら、国内インターネット業界bPを目指す。 |
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まず内部留保を充実させたい。株価については当社が評価する立場では無いという認識だが、中長期的には配当や自社株買いも検討し適正な株価形成のための施策を考えていきたい。 |
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(注)2009年6月期の数字は会社発表業績予想 |
■西堀編集長の視点 |
田中社長の個人的な趣味(興味)で始まったSNSサイトGREEであるが、インタビューを通してネットビジネスを起業した今までの経営者とはまったく違った雰囲気を持った人物であるように感じた。ネットベンチャーと言えば10年前のネットバブル初期の頃にはIPOが目的という経営者が多かったが、田中社長に関して言えば、そのような雰囲気は微塵も感じられない。そんなことよりもより多くのユーザーがGREEに集うようなコンテンツや仕組みの構築に余念がないようである。 ビジネスモデルにおいては、正直なところ個人ユーザーへの課金が売上の75%を占めているとは知らなかった。ネットメディアと言えば広告モデルが相場だったが、GREEはメディア事業というよりもSNSで集客したユーザーに対して携帯コンテンツ提供を事業としている言ったほうが正しいだろう。 世の中いくらネット広告市場に成長性があるとは言え、この不景気の最中に広告だけに頼っていては事業が失速する可能性もある。しかしながら個人ユーザーを対象にした課金ビジネスはまさしくロングテール型のビジネスであり少額を幅広いユーザーから払っていただくことにより不況に対抗することができる。家庭内で楽しむゲームとしては任天堂のWiiが一人勝ちになっているが、携帯電話はまさしくいつでもどこでも場所と時間を問わずにできるゲームとして引き籠りの時代には非常にマッチしたエンターティンメントになっているにちがいない。課金ユーザーの属性も20歳代中心ということであり、人口分布からするとまだまだ20歳代の携帯電話ホルダーへの普及余地は大きいと言えよう。 インターネットビジネスはやや停滞気味というかビジネスモデルの限界を迎えたように思われがちであるが、グリーの田中社長には是非とも新たな価値を創造していただきたいものである。 |
企業DATA
グリー株式会社
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□証券コード | 3632・マザ![]() |
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□ホームページ | http://gree.co.jp/ | ||
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