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『第四の癌(がん)治療法である 免疫療法が本格登場』 |
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![]() 当社は、がんワクチン療法の一つである「樹状細胞ワクチン療法」を中心とした、がん免疫療法における独自技術を医療機関に提供する会社。 「樹状細胞ワクチン療法」等の研究開発から技術・ノウハウの提供、また再生医療の研究開発を事業の柱としている。主な収益源となっているのが当社独自の治療技術「アイマックスがん治療(免疫最大化がん治療)」の医療機関への提供である。全国10箇所(09年1月末時点)の医療機関に技術提供や権利許諾、またクリーンルームの貸与などを行い、バイオベンチャーでは珍しく創業第4期目の07年12月期に黒字化を達成し、その後は増収増益で成長している。 「アイマックスがん治療」を理解する前に、矢崎社長に免疫療法の世界を紐解いていただいた。 そこで4つ目の治療方法として注目されるのが免疫療法だ。 この「樹状細胞ワクチン療法」を中心とした免疫療法に化学療法や放射線療法をうまく組み合わせる技術が、当社独自の「アイマックスがん治療」である。本来相性が悪いとされてきた化学療法・放射線療法と免疫療法を、独自技術で組み合わせることにより、より効率的にがんを攻撃する技術を確立した。患者の副作用がほとんどなく、外来でも治療を続けられるという。 当社技術・ノウハウの主力である「樹状細胞ワクチン」とは、樹状細胞という免疫細胞に、がんの抗原(患者のがん細胞をすりつぶしたものや、がん由来のタンパク、それを細かく裁断したペプチドと呼ばれるもの)を取り込ませたもの。患者のがん組織や血液からがんの特徴を突き止めておき、患者のがん細胞や人工のがん物質を、クリーンルームで培養した樹状細胞に認識させたものがワクチンとなる。ツベルクリン反応のような皮内注射で投与すると、“その人の持つがんに対する免疫”が体内で活性化され、記憶されている特徴を持つがんを狙ってリンパ球が攻撃してくれるのである。 当社は7つの抗原に対する独占的実施権を持ち、中でも“WT1ペプチド”というほぼ全てのがんや白血病にオールマイティに免疫反応を発揮する抗原の独占実施権を07年8月に獲得した。また、樹状細胞の培養技術や、クリーンルーム設置・運用のノウハウ、圧倒的な症例数(08年12月末時点:約900例)など、当社の実績が認められ、08年には国立大学病院と提携契約を結び、この技術は益々注目されることとなった。本来国立大学病院が自由診療を導入することは、極めて異例であるからだ。 売上は治療1クール(3〜4ヶ月で、ワクチンを5〜7回投与)ごとにフィーを受け取る仕組み。まだ自由診療であるため、1クールの治療費は150〜200万円ほど。多くて2クール行う患者もいるが、ほとんどが1クールで終了する。どの医療機関も同じ額のノウハウフィーを当社に支払い、クリーンルームの貸与先はそれぞれ施設使用料も加算される。クリーンルームを新規に設置する場合、5千万円程度の設備投資は必要となるが、貸与先への施設使用料も、1クールごとにかかる仕組みなので、設備投資を行っても治療数が増えなければ医療機関に負担はないという。また、セミナーの開催等を通じて、情報発信やマーケティングについてもサポートしている。 患者の身体的な負担は極めて軽いといわれる治療だが、高い効果を発揮した症例も次々に報告されているようだ。樹状細胞ワクチン療法を単独でステージW(末期・他治療無効)の患者に単独で行った場合、約3割でがんが縮んだり進行が止まったりしたという結果が報告された(東大医科研の臨床研究)。また、当社契約医療機関における症例では、化学療法や放射線療法を併用したアイマックスがん治療を行い、評価が可能であった症例に対して約6割に同様の結果が表れたという(第46回癌治療学会総会イブニングセミナーにて報告)。また、すい癌のような難しいがんに対してよい反応が得られたという例もある。 |
矢崎社長にとって、学生時代に叔父と叔母を立て続けにがんで亡くした経験がひとつの原点であったという。最先端医療にかかわりたい、多くのがん難民を救う為に貢献したいという思いから、外科医としての4年間を経て、日本で設立された遺伝子解析技術を用いる創業間もない創薬系バイオベンチャーへ入社した。 |
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04年6月の設立時は研究所教授のサポートを受けつつも1人でのスタートであった。その後、大田副社長との出会いや各分野のがん治療の権威を顧問に迎え、30代中心の経営陣が力を合わせて当社を築いてきた。 |
これからも自分が受けたい、家族に受けてもらいたいと思える治療をもっと普及させたい。 |
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投資家からは事業を成長させることが期待されていると認識しているので、まずは内部保留を充実させ先行投資を行うことで業績を確実に作っていきたい。そのことが当社の株価への評価につながると考えている。配当については投資と見合う十分な内部留保が確保できた段階で考えていきたい。 |
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(注)2009年12月期の数字は会社発表業績予想 |
■西堀編集長の視点 |
テラ社をバイオベンチャーの範疇に入れるとするならば、それは従来のバイオベンチャーのビジネススタイルには当てはまらない。これまでにIPOしたバイオベンチャー企業はVCや株式市場から調達した資金でもって新薬開発のパイプラインを複数走らせて売上のない経営を行い赤字が続く中で一発逆転のホームランを狙っていた企業が多かった。しかしながらテラ社は創業4期目にはすでに利益を計上するようになり、6期目の今期は上場費用などをこなしながら過去最高の売上と利益を見込んでいる。株式市場では利益が出ているが故に株価のバリュエーションが個人投資家にでもできるようになることでPERが高いとの見方もあってか上場日から株価は公募価格割れとなっているようだ。 今後の事業展開を考える上で契約機関数がキモになってくると見ている。NEO市場には必須のマイルストン開示において、契約機関数は2011年12月期には19カ所になると発表している。矢崎社長に潜在的な契約機関になりそうな医療機関数について質問したところ、規模や設備などの観点から各都道府県に複数展開できる可能性もあるとのことである。一方、当社の技術・ノウハウは医療機関において患者に対して活用されるものであることから、耐久消費財を拡販するような調子での普及は考えない方がいいはずだ。 最後に当社の株価形成については免疫療法のお世話になった患者さんの声が大きく影響してくるものと考えられる。従って、癌治療において着実に確実に実績を積み上げていくことで患者さんから支援される形で事業が伸びていくことを期待したい。 |
企業DATA
テラ株式会社
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□証券コード | 2191・NEO![]() |
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□ホームページ | http://www.tella.jp/ | ||
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