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新興株式市場のJASDAQ・NEOとヘラクレスが本日10月12日から市場統合となる。
多すぎる日本の証券取引所の市場の統合が進むことは、市場を運営する取引所の経営効率を高めると同時に株式市場参加者である投資家の利便性を高めると考えられる。
特に新興株式市場は2006年1月のライブドア事件以降低迷を深めており、JASDAQ証券取引所が大阪証券取引所に傘下入りした理由のひとつでもあろう。
経営の効率化という観点からは、本日の統合に先駆けてJASDAQは大証の売買システムを利用しており、我々個人投資家もそのメリットをすでに享受している。具体的には株価の板情報や取引時間の延長と目に見える形で表れてきている。
何度か大阪証券取引所の決算説明会に出席しているが、その中で米田社長からは旧JASDAQ市場の黒字化についても言及があり、システム統合で明らかに経営が改善しているのが理解できる。
しかしながら市場は統合されたとしても、市場の位置づけを如何に改善させていくかはこれからの課題ではないだろうか。
統合前のJASDAQは時価総額7−9兆円、月間売買代金2000-3000億円の水準が2年近く続いている。単純計算で時価総額を売買代金で割り算すると回転率は30〜40カ月となる。
1回転するのに3年間を要する株式市場への投資を投資家が躊躇するのもやむを得ない。特に大口の投資を行う機関投資家は投資先企業の業績もさることながら流動性にも重きを置いている。
先週10月8日のJASDAQの売買代金上位5銘柄の合計は51億円。そしてJASDAQ市場の売買代金の合計は98億である。なんと上位の5銘柄が売買代金の半分以上を占めている。この異常な特定銘柄に集中した売買を裏返して見ると、ほとんどの銘柄は売買が極めて低調であるということである。
JASDAQ市場は市場全体の流動性の向上、平たい言葉で言えば出来高を増やすことにもっと知恵を絞るべきである。
その策としては、JASDAQ TOP20、J−STOCK、アナリストレポート、ETF等々の導入があるが、これだけで流動性が高まるか?と考えると、本質論には迫っていないのではないか。
いま日本人が日本株を買わない時代になっていることは私が講釈するまでもない。個人投資家の資産運用のポートフォリオも株式なら新興国、債券なら高金利通貨のファンドと相場は決まっている。そこで敢て日本の新興市場株に投資する理屈がないというのが投資家の本音ではないか。
もし日本のJASDAQ上場銘柄を投資家が買おうとすれば、BUY-JAPAN, BUY-JAPANESE SMALL CAPの理屈を見つける必要がある。
市場は魅力のある企業の発掘、それら企業のJASDAQ市場へのIPO、そして東証に鞍変えさせずに当市場での上場維持にもっともっと時間を割くべきであろう。
そのためには流動性の維持ということが更に重要となってくるが、この議論は鶏と卵でどちらが先ということではない。
その双方を着実に愚直に続ける以外にはないのである。
更に苦言を一言。
本日から旧JASDAQ市場のHPは大証のHP内に併合されている。旧JASDAQの市場データにアクセスしようと試みたが、大証のHPに見当たらない。
私の検索が不十分なのかもしれないが、情報開示の必要性を十分承知しているはずの取引所がこの有様ではいかがなものかと考える。
HPのユーザビリティすらしっかりできていない市場に投資家目線まで考えろというにはまだ早すぎるのかもしれない。
しかしながら、日本のベンチャー企業、中堅企業にリスクマネーを供給するという証券市場の役割は統合JASDAQ市場が担っていくほかないはずである。
この調達市場としてのJASDAQ市場については次週意見を述べることにしたい。
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東京IPO編集長 西堀敬
メールはこちら ⇒ column@tokyoipo.com |
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