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先日発表された2月の米国の雇用統計によると、失業率はなんと8.1%と1983年12月以来の高い水準でした。景気悪化に伴う企業の倒産や大幅リストラによって、とんでもない解雇の嵐が吹き荒れています。朝夕の通勤では少し人が減ったような気がします。もちろん気のせいですが。
オバマ大統領がいろいろな政策を矢継ぎ早に打ち出しているものの、マーケットはこれを全く好感せず、株式市場には毎日、熊(ベア)が跋扈しています。
周期的にやってくるマーケットの崩壊や信用収縮には職業柄私は慣れているつもりでしたが、正直、今回はアメリカに居ることもあって、今までにない怖さを感じています。金融危機だけではなく、自動車メーカー問題に、ファミレスや電気店といった身近な店舗の閉鎖が相次いで、いわゆる「不況の実感」が日々増しています。
本当に暗い状況で、一つ間違えば一気に社会不安が高まってしまうのではと恐怖を感じます。
アメリカ人の友人が解雇されました。3人の子供を人気の私学に通わせ、自宅には映画鑑賞のホームシアターが2部屋、そして暖炉がある贅沢なリビングルームが2つと、すばらしい生活を満喫していた彼は、「これからどうしようか?」と、途方にくれています。
借金で贅沢な生活を手に入れるアメリカ人の生活感覚こそ問題だと日本では言われるのですが、アメリカ人のこういった消費性向のおかげで日本製品は販売を伸ばしてきたのも事実です。レイオフされた友人の車はレクサス、奥さんはオデッセイ、シアターの音響システムはオンキョー、テレビはパナソニックでした。
「アメリカに資本を提供して需要を創出してもらい、それで日本の産業が潤う。」日本とアメリカはそういった関係を構築して、その好循環を進めることで発展してきました。
前回まで、今回の金融問題の根幹は「レバレッジ(てこ)」だと言ってきましたが、いわば、日本経済も米国の消費経済を「てこ」にして伸ばしてきたのだといえるでしょう。その「てこ」がはずれた今、日本がより大きな痛みを感じているのは当然だといえます。
職を失った彼らはどこにいくのでしょうか?今朝、通勤中にラジオで聞きました。「MBAを持っていようが、経営幹部の経験があろうが、健康保険を使える権利を確保することが第一。とにかく失業後に職を選ばないこと、例えば宅配便の配達など、仕事は何でもありがたいと思いとにかく再就職しましょう」と。大変な状況です。
アメリカ人のすばらしい特色、それは「貪欲な起業家精神」です。ハイスクールの教科書では、経営資源の三要素として「物、金、そして起業家精神」と教えています。日本的に言えば、「人、物、金」でしょうが、「人」についてはアメリカではまず本人の起業家精神が重要な経営資源だと教えています。
アメリカ人の起業家精神(Entrepreneurship)は、今回の深くて長い不況を脱出させるエンジンになるでしょうか?このエンジンが着火してアメリカ経済の不況の出口が見える時、それが、日本の痛みが癒え始めるときでしょう。
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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