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3月後半になっても米国マーケットの上げ相場(ラリー)は続き、前回の冒頭に書いたとおり今週も束の間の春の気分を感じています。
米国財務省が最大1兆ドル(約100兆円)の官民共同による不良債権買い取りスキームを創設する具体案を発表したため、市場はこれを好感して、今週月曜日のニューヨークダウはご存知のとおり500ポイント近くも上げました。
さて、この新政策についての政府高官のコメントを聞いていて印象に残った言葉、それは「リブート」です。PCを再起動するように、米国経済、米国の信用システムを「再起動」するために、このような政策手段を打つのだと説明していました。
米国経済は突然奈落の底に落ち、「停滞」というよりは、いわゆるGDPギャップが大きい「停止」ともいえる状況で、まさに「再起動」が必要だというのが、厳しい現実です。
でも、「リブート」で、もうひとつ思うことがあります。
私もそうですが、日本人としては何事も今までの延長線上でものごとを考え、「来年は売り上げや利益を何%アップしようか」などと「線形」でものごとをとらえます。しかし、「リブート」という語感には、線形の発想を排し今までの考えを壊して「立ち上げなおす」という、米国人としての「非線形」の発想を感じます。
金融危機が発生する前は史上空前のM&Aブームで、この時各企業は「非線形の成長を果たして株主の期待に応えていく」というのをうたい文句に活発に企業買収をしていました。レバレッジをきかせて非線形の成長を果たしたつもりだったのに米国経済は一気に非線形の崩壊状況となって、「リブート」のために企業買収推進時の経営戦略の抜本的立て直しが必至になっています。
身近なところで「リブート」を体験しました。実は、私の息子が2シーズンも慣れ親しんだ少年野球チームが突如解散してしまったのです。どうなるのかと思いきや、元監督は自らマネジャーにひき下がり若い新監督とフレッシュなコーチ陣を連れてきて、選手を再募集してふるいにかけチームを一新してしまいました。このチームは名前も新たに「リブート」されたのです。
アメリカではこのような創造的破壊と再起動が時々行なわれます。米国大手企業がリストラを行なう際には、本社所在地を全く違う州に変えてしまうことさえあります。本社移転をリストラの口実にするという面もありますが、これによって幹部がほとんど入れ替わり、組織的に新しい血となって「リブート」できるわけです。
日本では、事業再生や企業再生など「再生」という語がよく使われますが、実は日本のような「線形」的発想では根本的問題は何ら変わらず、再生がままならない場合が多いのではないでしょうか。発展的解消とリブートという発想はないですから。
今回の金融危機と経済崩壊を奇貨として米国経済が本当にリブートできるという確信が広がり始めたとき、米国マーケットの本格的な反転が始まるのかも知れません。
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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