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3月の最終週、米国マーケットは大きく下げて始まってしばらく続いた上げ相場(ラリー)は一息つきました。今後当面は、そろそろ強気になりたい牛(ブル)と、まだまだ弱気の熊(ベア)との拮抗戦が続くものと思われます。
当初からこのコラムでは、米国の今回の経済危機はまさに「恐怖の絶叫マシン」のようだと言ってきました。このような急激な崩壊は、米国の多様な人々に例外なく、つまり、人種、年齢、性別、職種、業種を問わず多様な米国社会に広く不況の恐怖感が浸透しているように感じます。
金融危機の当初からワシントンで議員が叫んできました。「ウオールストリートすなわち金融業界の問題を、メインストリートすなわち一般生活者の問題に波及させてはならない」と。
しかし、残念ながら問題は「メインストリート」に広がっています。自動車デイーラー、大手家電ストア、ファミレスチェーンの倒産が相次いでいるだけでなく、家族経営の街角のレストランやお店が次々と閉店し、日本の商店街の光景と同じく、こちらの街角のショッピングモールでは閉店店舗が目立って侘しい空気が漂っています。
この週末の夜、行きつけのレストランに寄ったら閉まっていました。何度か行くうちに経営者と親しくなったのですが、彼は家賃を滞納していたらしく、大家が立ち入り禁止の貼り紙をしていました。アジア系の店主は真面目に頑張っていたのに、この不況に耐えられなかったようです。
米国では少し田舎に行くと町内に銀行やスーパーは1軒しかないという小さな町が多くあります。ジョージア州の田舎で小さな銀行の経営が破綻し、町で100年も続いていたわずか1軒の支店が突然閉鎖され、住人(多くは老人)は、お金をおろすのに20Kmも離れた隣町に行かねばならなくなったと、ニューヨークタイムズ紙の小さな記事が伝えています。米国の一般庶民の生活の場である「メインストリート」の疲弊は間違いなく進んでいます。
閉塞感を打破するため、オバマ大統領は事態解決の施策を色々と打ち出しています。今週は、ご存知のとおり、自動車問題解決のためにGMは60日間、クライスラーは30日間と、それぞれ猶予時間を限定することを発表し、GMのワゴナー会長は退任を余儀なくされました。
この両社は短い猶予期間の間に再生に向けて進路を根本的に替えられるのか。医療費、年金など多岐に渡る労使問題、技術開発費不足、複雑なディーラーチャネル、不統一なブランド、そして過大な債務等々、長期間未解決の課題が山積です。
米国経済をリブート(再起動)するためには抜本的打ち手が必要だと前回述べましたが、抜本的解決、それは一部報道のとおり、倒産をも視野に入れた整理なのかもしれません。
自動車産業問題は疲弊した米国の課題を表象する鏡です。この問題に解決の光が見えない限り米国経済が回復に向けてリブート(再起動)することはないでしょうし、市場で牛(ブル)が駆け始めることもないのかもしれません。
当面、米国の自動車産業問題の行方から目が離せません。
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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