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2009年4月8日(水)
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小春日和の相場は束の間だろうとあきらめていましたが、マーケットには大きな上昇気流は吹かず、やはりニューヨークダウは4月に入って下げ続けています。銃社会のアメリカ、こういう不安定な状況では銃乱射事件も起きて社会的な陰鬱さはさらに深まっています。

大規模なレイオフのニュースは業界を問わず相次いでおり、ここ当分色々な経済データも経済の悪さを示すものと見られています。私の会社でも人員削減がさらに進み、同僚の米人バンカーは首こそつながったものの収入は10分の1になって、ランチはブドウをつまんで済ませています。そんな彼の御用達だったマンハッタンの有名なイタリアンレストランは給与を不払いにしたまま閉店されて怒った店員の騒動が新聞沙汰になり、そこでディナーに高級ワインを開けていた彼にとっては、ランチのブドウのすっぱさはひとしおかもしれません。

そんな中、世論調査では景気は今後改善に向かうのではないかという楽観的な見方がやや増え、悲観一色だったのが変わりつつあるようだと、ニューヨークタイムズ紙が調査結果を報じています。「色々な施策が打たれて、あるべき方向に向かっている」という回答者の見方が背景のようです。今後当面は悪化し続ける雇用環境の中でも楽観気分が広がるのかまだ分りませんが、細々とでもトンネルの先の明かりは見えつつあるという感触は芽生えているのかもしれません。

でも、残念ながら安心できる状況ではありません。

前回にも書きましたが、自動車業界の行方が当面注目の的です。大統領の再検討指示を受けGMやクライスラーがどのような対応を進めるのか色々と憶測されていますが、特にGMは「GOODとBAD」に分けて処理されるのではないか、という論調が増えてきました。

このGOODとBADとに分けて事態を処理する方法は米国人の得意技です。生産性が低いことに時間をかけても効率が悪いだけ、さっさと後始末をつけ経済効果が期待できる部分にだけ資源を投入しようという発想、これは、会社や経済を再起動(リブート)するための極意のようです。

GMの経営資源である、技術、ブランド、販路、商品群、そして人をGOODとBADとに切り分けてGOODをベースに再度立ち上げを進め、「第二の創業」的なリブートを行なおうというねらいです。

では、BADとして括られた方はどうなるのか?金融バブル時であればBAD部分をも投資対象とするファンドが群がったと思いますが、今のこの状況では単に切り捨てられ、最低でも4万7千人が職を失うのではないかと言われています。

自動車産業が中心だった町で他に職を見つけることは不可能で、職を失った人々は次の職を探す意欲さえ起こらないでしょう。職を失っても求職をあきらめたりパートタイムで我慢したりしている人は米雇用統計上失業者として数えられないため、多くは失業率(現状、8.5%)にさえ織り込まれない言わばかくれ失業者となってしまうのかもしれません。

現状、この広い意味での失業率は15.6%にも達しているとBloombergは報じています。約6人に一人は定職がない状況。この暗さは「夜明け前は一番暗い」の言のとおりなのか、さらに深まる暗闇なのか定めはつきませんが、社会的にも憂慮すべき状況であることは間違いありません。


米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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