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東京IPO編集長のブログでご郷里の桜を楽しませてもらいました。山寺の庭園でしょうか、なかなか趣がある桜の風景でした。
日本の春の風情をよそに、NYダウは今週、下げて始まっています。今週は米国大手企業の業績発表が相次ぐ予定で市場は神経質な動きになると思われます。もとより、市場の反転は日次や週次で確認できるものではありませんので、ここは慌てずにマーケット反応を見守るつもりです。
さて、この連載を書く機会をいただいてから10回目となりました。初回に「米国経済崩落の底知れない恐怖感」があると書きましたが、この間雰囲気はどう変わったか考えてみました。
失業率の悪化、企業業績の落ち込み、自動車産業問題、倒産など、まだまだ今後も悪いニュースが続くと思われ、また、前回書いたとおり失業率統計に含まれない実質的な失職率はすでに6人に1人のレベルに達していと言われているなど、とても困難な状況にあります。
先週、オバマ大統領は、「非常に困難な状況であることには変わりはないが、かすかな希望の光が見えてきた」とコメントしました。製造業の在庫圧縮がある程度進み、実質個人消費が1月以降は持ち直しの傾向を見せるなど、悲惨な材料ばかりではなくなってきた感はあります。
ただし、米国経済の崩落に歯止めがかかり「底打ちした」といえる状況ではありません。
経済が悪化しているときに絶対に避けるべき状況は、日本が「失われた10年」に経験した「デフレスパイラル」のような悪循環です。経済の先行きに自信がないとき、個人は消費を絞り、それがさらに経済を悪化させてしまいます。景気が悪くなりいつ給料がもらえなくなるかも知れないので財布の紐を絞ろうというのは個人レベルでは正しい行動であっても、多くの人がそのような行動をとると、全体としては経済悪化に拍車がかかってしまいます。
問題が連鎖的に勃発する時には、このような、いわゆる「合成の誤謬」とも言える悪循環が起こっていることがあります。例えば、昨年3月にベアスターンズがJPモルガンの救済を受けたあと次にリーマン破綻をおそれた金融機関が信用供与を絞り、その後の半年でリーマンは資金繰りがつかなくなりました。各社が被害を小さくしようとして資金を引き上げる、これは個別には当然の行動でも全体的にはリーマンを加速度的に苦境に陥れたといえます。そしてご存知のとおり、リーマン倒産後は金融システム全体が崩壊し、金融機関はリーマンへの与信金額以上の巨額の損失を被る最悪の事態になりました。
政府としては、金融システムの「金を融通しあう」つまり「金融」としての文字通りの機能を早く回復させ、米国経済が悪循環に嵌まり込んでしまうことを避けたかったのでしょう。矢継ぎ早に打ち出された大型政策は、「ここまで政府が打ち手を揃えたので、なんとかなるのでは」という予感を経済社会に持たせるという、先行き不安を和らげて悪循環を早く断ち切る意思がこめられています。
しかし、かすかな希望の光さえ吹き消されてしまうと、その時の失望はさらに大きなものとなるおそれがあります。成長軌道への回復に一歩踏み出すためにも米国政府としては悪循環を断ち切って経済システムの足場をしっかりと固めていくことが必要でしょう。危機回避の詰めの段階がしっかりと仕切られていくかどうか、良く見極めていきたいと思っています。
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米国駐在インベストメントバンカー Mayflower
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