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2009年5月13日(水)
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日本でもすっかり有名になったキーワード「ストレステスト」。世界中のマーケットから注目された米国の金融機関に対する特別検査の結果が先週7日、米連邦準備制度理事会(FRB)から発表されました。

米国大手金融機関19社のうち10社が、計約7兆3,000億円もの資本増強を必要とし、なかでもバンカメは約3兆3,000億円の資本増強が求められるとの発表は、市場に大きなショックを与えるかと心配しましたが、各行のストレステスト結果が連日ニュースメディアにしかも正確にリークされマーケットがこれに慣れてしまったのか結果的に7日の発表は全く市場へのストレスは与えず、通過儀礼的なものとなってしまいました。

ストレステストを控えた期間、それは日本のゴールデンウイークにも重なりましたが、結局、この間、マーケットは大きく上げ続けました。

これで米国経済は回復に向かうのでしょうか? 

今ようやく「メルトダウンとも言えるような底なしの経済崩落感」がなくなったという感じは持っています。経済の血流機能である金融システムが機能停止状態になっていた時は、このコラムでも書いた通り大きな恐怖感を覚えたものですが、政府の矢継ぎ早の大型政策によってそのような恐怖は薄らいだ状況だと思います。

FRBのバーナンキ議長は、ストレステストの結果は、投資家や社会に安心感をもたらすとコメントしましたが、マーケットは確かにそんな感じで受け止めたのでしょう。

でも、まだまだ難題山積です。

仕事柄、普段は名前さえ耳にしない米国の中小ローカル銀行の身売りや資本増強の話を聞くことが増えました。このようなローカル銀行はバランスシートが相当痛んでいて、幸いにも預かった預金が逃避せずに資金繰りが当面回って倒れずにいるという状況です。ゾンビ銀行とも揶揄されるこういった金融機関は数百あるといわれ、中小金融業界は、まさに死屍累々ともいえる状況だというのが現実のようです。

ゾンビ銀行が米国各地で徘徊して地方経済がホラーに怯えるような状況では、今後、米国経済が回復に向かうことは不可能でしょう。

高利回り債券市場でも起債が始まるなど、少しずつ資金市場の流動性が高まってきており、リーマンショックに始まった金融危機は機能回復に向けて次のステージに入ったと思われます。

まずは、大手金融機関に対する世間の安心感を回復させ、その他のゾンビバンク問題は大手金融機関や預金保険制度を使って、今後、走りながら片付けようというのが、現在の当局の対応戦略なのでしょう。米国の景気回復のためにも、ゾンビ救済策が成功することを祈る気持ちです。

私が見たいくつかのゾンビだけでも、本当に恐ろしいものでしたから。



米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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