今日、6月9日朝、米議会で行なわれていたガイトナー財務長官に対する質疑をテレビで見ていました。米国の大手金融機関10社が公的資金を返済することを財務省として認めることを発表し、議員からの執拗な質問を跳ね除ける言動には自信がみなぎっていました。
JPモルガンチェース、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなど、大手10社から返済される金額合計は約6兆6,000億円と、公的資金投入金額同様、返済時にもその金額の大きさには驚くばかりです。また、この10行は、財務省に約1,750億円もの配当を行なってきたことも明らかにされました。
米政府が金融システムの大崩壊を阻止するために、巨額の公的資金を緊急的に注入したのは昨年秋ですが、まだその記憶も新しいうちに大手金融機関が返済を実行して、未曾有の金融危機対応は、最初の節目を迎えたといえるでしょう。
ご存知のとおり、3月以降、世界の株式市場は大きく上げました。今回の救済資金返済劇は米国の株式市場、資本市場が順調に機能回復していることが奏功したことはまちがいありません。
上げ相場は、米国の金融機関を大きく癒しました。
米国だけではありません。南米の雄ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数は、本日時点でこの3月初めから46.70%も上昇しています。ブラジルの国内総生産(GDP)は2四半期連続で−3.6%、−0.8%と落ち続け景気は後退しています。しかし、主力産品である鉄鉱石などの需要が今後世界的に大きく回復するとの見方から関連銘柄などが大きく買われてきました。
先日、ブラジル人の銀行家とおいしいブラジルコーヒーを飲み雑談しましたが、この冬にはオフィスにひきこもって面会謝絶していた本人とは思えないほど、明るさがあふれていました。春以降の上げ相場が彼を大きく癒したようです。
米国の金融危機救済資金はTARPと名称がついています。タープと聞けば、まず、キャンプなどで四辺を木につなぎ、簡単な日よけ雨よけとして使う布のことを思い出すでしょう。
リーマン危機で夕立のような金融危機が襲ったため、政府が大規模な救済策としてTARPを広げたが、それは、あくまで一時的な雨よけ程度のもの。どしゃぶりの雨が過ぎ去って日差しもでてきたので、さっさとタープは畳んで返しましょう、というのが今日の大手10行の動きです。
とてもすばやい行動です。公的資金の返済が完了されていないうちに次の金融危機が来てしまった日本とは大違いです。
オバマ大統領は、金融機関からの公的資金の返済を前向き歓迎、併せて、雇用機会創出のため、景気対策夏季強化の10政策を導入、今後景気回復軌道を底堅いものにすると発表しました。
このように企業トップのような姿勢を大統領がとることには賛否両論あると思いますが、国民に明快に伝えるオバマ大統領を見て、日本郵政の社長続投の是非について総務相に意見も言わず黙り続けている麻生首相とつい比べてしまいます。しかし、日本の金融機能の回復は麻生首相を癒すほどまでには回復していないことを思えば、それは酷というものでしょうか?
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