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2009年6月24日(水)
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火曜日のNY市場は朝からボーイングの業績見込みを嫌気するなど弱気な空気で、終日上昇気配なくNYダウは小幅下げて終了しました。週の初日、ダウは200ドル下げるなど全く勢いは感じられません。テクニカルには200日の移動平均線をブレイクするかどうか注目されていますが、火曜日時点では相場にはそのような力はなさそうです。

前にも書きましたが、春以降の上げ相場では、「グリーンシュート、(経済の)芽吹き」という表現で景気回復の期待感が先取りされてきました。そろそろこの期待感も薄れてきたのか、より一層の期待感を膨らませるには材料不足という状況です。

個人的実感としては、現実の生活はさらに厳しさを増しています。

私の周りではレイオフは未だに続いています。大きな人員整理をした後も業務効率を上げて少しでも余剰ができると「ピンクスリップ」、赤紙ならぬ桃色紙で知られる解雇通知が出されます。先日解雇された女性スタッフは、別の会社で働いているご主人もたまたま同じタイミングで雇用が打ち切られ、送別ランチでは途方に暮れていました。

学校では全学期が終了して夏休みに入り、今週、解雇された先生から父兄の連絡網にお別れメールが続々と届いています。公立学校も限られた教育予算のやりくりのために教師の数を削減するという手にでたようです。サマースクールに通う通学バスは台数を削減、立ち席こそないもののまさにすし詰め状態で気分が悪くなると息子がこぼしています。

失業保険が切れた後のセーフティーネット、それは生活保護やフードスタンプ(最低限の食料購入用のデビットカード)です。

有力紙などの記事によれば、生活保護の申請件数が全米で増えており、サブプライム危機の震源地であるフロリダ州やカリフォルニア州、失業率も高く経済の地盤沈下の激しいオハイオ州やオレゴン州などで特に生活保護申請件数が伸びているようです。

最低限の生活がやっとという層が増えているという厳しい現実は、とても「グリーンシュート」とは言えない状況ですが、投資家はこれからどのようなスタンスをとるべきなのでしょうか?

先日、投資の神様の一人、ピーター・バーンスタイン氏が90歳で亡くなりました。『リスク−神々への反逆』など10冊の著作を出版し投資についての哲学的洞察の深さで知られる同氏は、これからの投資をどのようにみていたのでしょうか。

ウオールストリートジャーナルの追悼記事は、昨年4月に行なったインタビューで同氏は次のようにコメントしていたと記しています。

「今後当面は極度にリスクを回避するような経済行動が長く続くであろう。2009年には(経済としては)曲がり角を転じるだろうなどと考える人は、間違っているのではないか」と。

確かに金融システムの危機的状況は回避され底なしの恐慌に陥る状況ではなくなったのかもしれませんが、今の経済状況を見て、芽吹きが美しい緑になるような回復への動きだと判断するのは、バーンスタイン氏の見方のとおり早計なのかも知れません。



米国駐在インベストメントバンカー Mayflower


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