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振り返れば、8月下旬に発表された(米)7月の新築住宅販売件数は1963年の統計開始以来、過去最低の水準へと落ち込んだ。「過去最低」というフレーズが再び飛び出してきたところからして、米住宅市場に関しては「すでに2番底に突入している」と言ってもいいぐらいだろう。
もちろん、住宅市場の縮小は再び金融不安に波及する恐れがあるし、いずれ明らかになる7―9月期の米GDPにも大いに影響する。先行きが不透明になるほど、米企業の「製造(=生産)」や「設備投資」は減速するだろうし、連れて「雇用」が悪化すれば「消費」も一段と落ち込む。
それでも、いまのところNYダウが1万ドルの大台を大きく割り込まずに推移しているのは、なおも4―6月期のゲタを履いているところが多分にあるからだろう。
中期的に見れば、7―9月期の米GDPや米企業決算が明らかになる10月中旬以降に、あらためてリスク回避ムードの荒波が市場を襲うことになりやしないか、いまから少々心配である。
ときに、9月1日に発表された(米)8月のISM製造業景況指数や3日に発表された(米)8月の雇用統計を見ると、意外なことに(?)それらは事前の市場予想よりもやや強めの結果であった。当然のことながら、これで一安心というわけには行かない。
ブッシュ大統領は6日の週中に追加の景気刺激を打ち出すとしているが、それがどの程度の景気浮揚効果をもたらすかは、まったくもって未知数…というより、さほど期待できるものではなかろう。
その実、FRBは警戒態勢を依然として維持しており、9月下旬に行われるFOMCに向けて、じっくりと追加の金融緩和策を練り、それぞれの策を打ち出す順番とタイミングを図っているものと見られる。
先々、米FRBが大胆な金融緩和策に乗り出す可能性がある以上、自ずとドルの上値は限られてくる。
よって、それはユーロ/ドルの下値支持、ドル/円の上値抵抗となってくるはずだ。
周知の通り、ドル/円は8月24日に83.60円の安値を一時的にも付けたが、その後、83円割れの水準を果敢に狙ってくるような動きにはなっていない。周知の通り、それは日本政府・当局による為替介入や一段の金融緩和実施を警戒(期待?)してのことである。
8月30日、日銀は渡米していた白川総裁が帰国を前倒しする格好で臨時の会合を開催した。しかし、打ち出された策は「新型オペ」の拡充に留まり、大胆な策を警戒(期待?)していた向きにとっては、はなはだ失望感の強い内容であった。結果、日銀は市場関係者やメディアから厳しい批判を浴びることとなったが…。
仮に、8月30日の時点で大胆な策に打って出たところで、もともとその効果は限られていたし、何より9月1日のISM製造業景況指数や3日の米雇用統計が散々な結果であったならば、せっかくの政策効果も大きく損なわれてしまう。そこで、あえて「お茶を濁すような」内容の策に留めたというのは考え過ぎか…。
9月8日には米地区連銀経済報告の中身が公表され、これは次のFOMCの議論にとって大きな材料となる。FRBは、先のFOMCにおいて「資金供給量を維持する」といういささか控えめな策を打ち出したが、場合により次のFOMCでは「資金供給量を拡大する」という領域に再び踏み込む可能性もある。
「その時」に相前後して、ついにドル/円が83円割れの水準を試しに行くような事態に陥ったとした場合、日本政府・当局は満を持して為替介入ならびに一段の金融緩和実施に踏み込む可能性がある。やはり、後になってチャートを確認したとき、長めの下ヒゲが見てとれるようなパターンにならないと、なかなか動けないというのが本音のところであろう。
政府・当局としても、些か手詰まりな状態のなか数少ない手持ちの実弾を投じるには、よくよくそのタイミングを図らねばならないと考えているはずだ。なお、足下では民主党代表選に小沢氏が名乗りを上げたことで日本の長期金利が上昇するといった現象が起きている。これもドル/円の売り材料となりかねない。
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1964年東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。 週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。 |
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。 テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。 |
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