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チャートを見てもわかるように、ユーロ/ドルは昨先のドバイ・ショックを契機に下げ基調に転じ、大幅な下落を見た後、今年の6月7日に1.1876ドルで底入れ。現在はそこからの戻り過程にあり、前述したように9月22日には1.3647ドルの高値をつけるに至っている。
ここで何より押さえておかねばならないポイントは…
ユーロ/ドルが08年7月に1.6038ドルで天井を打ち、下げに転じてからの大きなトレンドはなおも変わっていないと考えられること。つまり、長期トレンドはなおも下向きであるということだ。
だとすると、今年6月以降の戻りは、あくまで長期下げトレンドのなかのリバウンドであると考えねばならないこととなるが、先にも述べた米欧の景況感に見られる温度差に基づいて、今後もしばらくは「リバウンド」局面が続くものと見られる。ただ、目先は、急騰後の過熱感が強まってきていることや今年の4月高値に接近していることもあり、しばしの調整を交える可能性もあろう。
しばし調整後に再び上値を試す展開となった場合には、中期的に08年7月高値から今年6月安値までの下げ幅に対する50%戻し=1.40ドル、あるいは61.8%戻し=1.45ドルあたりまでの戻りが見られる可能性が想定される。なお、チャート上に見られるように、08年7月高値と昨年11月高値を結ぶ直線は今後も一つの上値抵抗=レジスタンスラインとして意識されるところとなりそうだ。
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以上のような見通しを米欧のファンダメンタルズと結び付けるならば…。
⇒いましばらくは米国景気の減速感の高まりと、それに伴う米国の超低金利継続によって対ドルでのユーロ買いが入りやすい状態が続く⇒しかし、一定レベル以上にユーロ高・ドル安が進むと、ユーロ圏はユーロ安の恩恵が受けられなくなり、逆にその間、米国はドル安の恩恵に浴することことなる⇒米国は追加の金融緩和を実施することによって、徐々に景気の底入れが図られてゆく可能性が高い。結果、2011年の中盤あたりから、徐々に将来の利上げ観測や金利上昇期待が台頭するようになる(これは金融緩和が継続することによってドル安状態が続くことと、それに伴って米国にインフレ期待が台頭しはじめることにもよる)⇒結果、2011年から2012年にかけて、再びユーロは対ドルで売られやすい状態へと転換して行く可能性がある。
なお、前回の本欄では「ドル/円が83円割れの水準を試しに行くような事態に陥った場合、日本政府・当局は満を持して為替介入ならびに一段の金融緩和実施に踏み込む可能性がある」と述べた。
そして案の定、9月15日にドル/円が一時的にも82円台に値を沈めたことを「口実」に、財務省は単独での為替介入に踏み切った。いまだ財務省の介入体制は万全で介入余力も十分であるものと思われるが、どのみち単独為替介入の効果が自ずと限られることは言うまでもない。
よって、いま何より期待(警戒?)されるのは、日銀法の改正や日銀経緯ルールの見直しまでをも視野に入れたうえで、日銀が目に見える形での大胆な量的金融緩和=具体的には国債の買い入れ拡大に踏み切ることとなる。
いま(執筆時)、日銀は10月4―5日に開催される金融政策決定会合において追加の緩和策を実施することに向けた詰めの検討を続けているとされる。その結果に対して、市場が「中途半端」と見做したならば、もはやドル安・円高に歯止めをかけることは難しく、ドル円が80円割れを試す可能性は十分にある。
逆に、ある程度大胆な策が講じられるようなら、向こう3―5カ月程度の期間、ドル/円には一定のリバウンド(上値メドは88円―92円)が生じる可能性がある。
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1964年東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。 週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。 |
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。 テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。 |
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