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あれから、すでに50週が経過しているわけだが、過去のパターンを振り返ると最大で1年程度まで1サイクルの期間が延長されたケースも見られる。そして、少なくとも前回(09年11月27日)、前々回(09年01月21日)の時点においては、この9ヶ月サイクルの見方が有効だったわけである。
もちろん、現段階においてはどの時点、どの水準がボトムになるかは定かでない。それはFOMC声明後か、はたまた(米)10月の雇用統計発表後か…場合によっては、一時的にも95年のドル円の最安値=79.75円を下抜け、ついに最安値更新となる可能性も十分にあろう。
仮に、このあたりでサイクル・ボトムが確認されたとするならば、少なくとも年末にかけてドル/円には一定のリバウンドが生じる可能性もあるものと見られる。その場合は、まず9月に本邦当局が円売り介入を実施した後の高値である85.94円が上値メド。同水準を上抜けた場合には、過去の価格推移のなかで一つの節目となっている88―89円程度までの戻りを試す可能性もあるものと見られる。
もちろん、たとえ目先的にリバウンドが生じたとしても、いまだ長期的な円高・ドル安トレンドは転換しておらず、11年の半ばあたりにかけて再びドル/円は下落する…といった感じだろうか。
目先、ドルに反発の気運が生じるならば、一方でユーロ/ドルは一時的にも調整場面を迎えることとなろう。当面は、10月15日高値=1.4160ドルが戻り局面の終点と見られるが、場合によってはFOMC声明後あるいは(米)10月の雇用統計発表後あたりに同水準を試し、ダブル・トップを形成する格好で「しばし調整入りする」というシナリオだ。
これは前述したドル/円とは逆の動きであり、少なくとも年末にかけて一定の調整を見る可能性がある。その場合は、ひとつに8月6日高値=1.3333ドルが下値メドとなろう。もちろん、たとえ目先的に調整入りしたとしても基本的なユーロ高・ドル安トレンドは転換しておらず、調整後は11年の半ばあたりにかけて再び戻りに転じる…といった展開が想定される。
ここで、11年半ばあたりにかけて対円・対ユーロで再びドル安が進むと見るのは、米国の景況感が今後半年程度一段と悪化する(=その間に発表される米経済指標が弱い数値を示す)と見られるからである。
その結果、FRBが最も恐れる「日本病」=長期的なデフレ―ションに陥る可能性が高まり、FRBはなりふり構わぬ量的金融緩和の拡大に走る可能性が高いものと思われる。
逆説的だが、足下で米景気が悪化の度合いを強めるほど、それだけ米景気が立ち直りのきっかけをつかむ時期は早まる…。今後、段階的にもFRBが量的金融緩和策を拡大し、超低金利状態が長引くと同時にドル安状態が一定期間維持されれば、いやでも米景気は立ち直りのきっかけをつかむこととなるだろう。
よって、11年の半ばあたりから後半にかけて、徐々に米景気には立ち直りの兆しが見え隠れしはじめ、早ければ「11年の終わりごろから12年の初頭にかけてFRBがリーマン・ショック後初の利上げ措置に踏み切る」などといった観測が持ち上がってくる可能性もあろう。
逆に、対円・対ユーロでドル安が進んでいる間は、日本ならびにユーロ圏の対外輸出も伸び悩み、いずれ相対的に米国の景況感の方が日欧のそれよりも強まってくることだろう。結果、11年の半ばあたりから後半にかけて、徐々にドルは対円・対ユーロで買われやすい状況になって行くものと見られる。つまり、前回の本欄で述べたとおり、ユーロ/ドルが08年7月に1.6038ドルで天井を打ち、下げに転じてからの大きなトレンドはなおも変わっていないと考えられるのである。
ちょっと気の早い話のようだが、その辺のところを見越したうえで「現下のドル安」や「目先リバウンドの可能性」などを考えることも必要であろう。
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1964年東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。 週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。 |
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。 テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。 |
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