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逆に「売①」のサインが現れる時というのは、市場価格の上昇が頭打ちになり、次第に移動平均線の上昇力も衰えてきた後に、市場価格が市場参加者の売買平均コストを下回ってくるわけですから、多くの買い方はそこで手仕舞い売りのオーダーを出そうと焦ります。同時に、売り方にとっては俄然有利な状況に転じることから、一段と売り圧力が強まることとなるわけです。

ここで、ユーロ／円の過去１年間の日々線の推移と２００日線との関係を見ておくことにしましょう。

チャート上に示したとおり、確かに過去のユーロ／円の価格推移にはグランビルの法則がちゃんと当てはまっています。
ということは……２００日線が下降を続けるなかで市場価格が移動平均線よりも上方に急激に上昇してきた結果、４月２３日に１６４．９５円の高値をつけるに至った昨今の状態は、グランビルの法則で言う「売り②」にあたるのでしょうか？

４月下旬に発表された（独）４月の製造業ＰＭＩ、（独）４月のＩＦＯ景況指数は、いずれも前回の結果と事前の市場予想をともに下回り、（独）４月の失業率も４．９％と予想（４．８％）よりも弱い数値となりました。ドイツ以外のユーロ参加国では製造業・サービス業ともに景況が悪化しており、ひと頃の勢いは感じられなくなっています。

また、ユーロ圏の要因が口々に以下のようなコメントを発していることも注目されます。

●「誰もがＧ７の最近の声明で明確な姿勢（ドル安けん制）を示したことを認識する必要がある」（ユンケル・ユーロ圏財務相会議議長／）ルクセンブルク首相件財務相）

●「強いドルが国益との事実について、これまで米大統領や財務相、ＦＲＢ議長らが繰り返してきた発言は以前にも増して重要である」（トリシェＥＣＢ議長）

いずれにしても、２００日線が下降に転じてきたユーロ／円の今後の動向には十分に目を光らせておく必要がありそうです。

第11回「「ドルは金利底入れで買われ、金利上昇観測で売られる！？」

第10回「「当面はユーロ／ドルの行方を注視したい」

第9回「「「その日」は着実に近づきつつある・・・」

第8回「「ユーロ／ドルの急上昇にあたり・・・」

第7回「「金」の価格と外国為替相場の相関を考える」

第6回「ファンダメンタルズ＆テクニカルで相場を展望」

第5回「いずれ顕在化する！？円売り（＝日本売り）リスク」

第4回「往く年を振り返り、来る年を占う・・・」

第3回「なぜ、外為取引にはテクニカル分析が有効なのか？」

第2回「ドル／円相場は、今後しばらく円高基調が続く！？」

第1回「急激な円高局面で、あらためてFXの魅力を再確認」


１９６４年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱ＵＦＪ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、引いては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ１５０回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のＷＥＢサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。
自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ（テレビ朝日「やじうまプラス」、ＢＳ朝日「サンデーオンライン」）やラジオ（毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」）などのレギュラー出演を経て、現在は日経ＣＮＢＣ「マーケットラップ」のレギュラーコメンテータ、フジテレビ「めざましテレビ」、「ほんまでっかニュース」の経済ご意見番などを務める。