振り返れば、まさに「パニック!」でした。
前回の本欄執筆から僅か2週間で、いったいどれだけのことが起きたことか…ひとつずつ順番に思い出すのは骨が折れます。
とにもかくにも、日経平均株価が一時8115円(10日)まで下落し、同じ日にNYダウが
一時7882ドルまで下落したことは歴史的事実として今後も長らく記憶に残ることでしょう。
米政府・当局が金融安定化のための対応策を打ち出すたびに、市場は対応の微妙なズレを突き、すぐさま「次の一手」を求めるがごとく大幅な下げを続ける…。当事者にとっても、世界の投資家にとっても悪夢のような日々が続きました。
G7閉幕後に発表された異例の「行動計画」に対しても、多くの市場関係者は「具体性に乏しい」との評。結果的には、先行した欧州と足並みを揃える格好で、米政府が金融機関への資本注入を柱とする総合的な金融安定化策を発表し、ようやく負の連鎖にはひとまず歯止めがかかりました。
この間、ドル/円は一時98円を下回る水準まで下落。
結果、これまで本欄で指摘していた「80週サイクルの終点=年末から年明けのタイミングで一定の高値をとりに行く」という見通しの前提であった「101円台半ば」の水準をあっさりと下抜けたことから、今後の見通しについては多少の修正を余儀なくされることとなっています。
まず、大きな流れとして「07年6月高値=124.12円を起点とするドル安・円高のトレンドに入っている」との見通しは変わりません。過去に確認される「5年サイクル」が今後も意識されるならば、このトレンドは2010年の初頭まで続くものと見られます。
ただし、ドル/円の5年サイクルはあくまで過去の米国の景気循環とリンクしたものであるため、今回の米景気後退が「異質」なものであったならば、必ずしも2010年初頭にトレンド転換を迎えるとは限りません。
今後、9月16日の安値=103.52円を上抜ける場面があれば、先に述べた「80週サイクル」の考え方は復活し、年末から年明けにかけて一度、高値をとりに行く可能性が出てきます。この場合の上値メドは、07年6月高値から08年3月安値に対する61.8%戻し=113円台前半となります。
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