かつて日銀は2001年から5年間に渡って量的金融緩和を実施した。その結果、当初5兆円だった日銀当座預金口座の残高目標は段階的に引き上げられ、最大35兆円となった。それだけ大量のベースマネーが供給されたわけである。さらに、当時の日銀は「時間軸政策」と呼ばれる手法まで導入し、一定の条件が整うまで金融緩和を続けると宣言することで「しばらくは緩和が続く」との見方を市場に浸透させる=長めの金利を安定させることに前向きに取り組んだ。
こうした過去の「実績」について、いまの日銀は「量が直ちに景気を押し上げる効果をもったかどうかについて明確な答えはない」とし、その実施に後ろ向きなのである。よって、大きな流れとしての円高・ドル安は今後もしばらく続くこととなろう。
それにしても、昨年8月15日の高値=110.66円に始まって12月17日の安値=87.11円にまで至った円高・ドル安はあまりにも急激であったし、少々オーバーパースであったと見るべきであろう。その意味で、今年1月6日の高値=94.64円までの戻りは当然のことであったし、これでリバウンド終了とするには日柄も値幅も不十分ではないかと思われる。
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