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前回の本欄でも触れた「ややノーテンキに過ぎる」商状は、5月8日の(米)4月に雇用統計発表後まで続いた。
このたびの米雇用統計では、確かに非農業部門雇用者数(NFP)の減少が事前予想を下回ったわけだが、その減少幅は53万人にも上り、雇用者数の減少は16カ月連続となった。また、失業率は8.9%となり、25年7か月ぶりの水準に悪化。これは本来、3月中旬あたりから続く少々行き過ぎた楽観ムードをすべて吹き飛ばすほどのインパクトを持つはず…。しかし、8日のNYダウは前日終値比で164ドル高となり、連れて週明け11日の日経平均株価もプラス圏で引けることとなった。

しかし、13日に発表された(米)4月の小売売上高が前月比0.4%減と、事前予想の0.1%増を下回ったところからムードは一変した。もともと日米の株価に高値警戒感が充満していたことや、GMがチャプター11の適用を申請する可能性が高まってきたこともあり、グローバル投資家のリスク許容度は一気に低下している模様だ。

それにしても…ドルの立場は微妙であり、複雑である。
投資家のリスク許容度が高まっている間は、いわゆるドル・キャリートレードの動きが強まることでドル売り圧力が強まる。逆に、投資家のリスク許容度が低下すると、今度はドルが買い戻される(ドル・キャリートレードが巻き戻される)というのがセオリーであるはずなのだが…足元では、いまさらのように米国の財政赤字の問題を引き合いにドルを売る動きが見られる。

2009会計年度における米国の財政赤字が過去最高水準に膨れ上がることなど、誰の目にも明らかなことであった。
ただ、今回は英フィナンシャル・タイムズが「米国債格下げの可能性」を指摘する記事を掲載し、結果、米長期金利が上昇。加えて、民主党の「次の内閣」で財務大臣を務める中川正春氏が(不用意にも)ドル下落のリスクを指摘したことなどが、ドル売り材料視されている。すべてが後付け講釈と言えば「その通り」で、ある意味では材料に乏しい状態。そんなときは、また再び株価との相関が強まるということも、あらためて認識しておきたいところだ。

もちろん、ファンダメンタル的なアプローチが難しくなったときには、テクニカルの出番である。
まずはユーロ/ドルについて…前回の本欄では「いましばらく下降チャネル内の動きが続く」と見通したわけだが、結果は見てのとおり、見事にチャネル上限をブレイクし、典型的な「中段保ちあい上放れ」のパターンとなった。




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