はてさて…では、8月上旬はどうか?
執筆時のNYダウは連日の上昇を経て9100ドル台を回復し、連れて日経平均株価は1万1300円台と連日で年初来高値を更新している。しかしながら、こうした日米の株価上昇は多分に希望的な観測に基づいて1年以上先の企業収益の改善を見込んだものとなっており、テクニカルな要因や需給で勢いづいているのは仕方がないが、やはり少々加熱気味と言えよう。
28日に発表された(米)7月の消費者信頼感指数は予想を下回る低下となり、29日発表の(米)6月の耐久財受注も予想以上の落ち込みだった。また、31日に発表された(米)4−6月期の実質GDP速報値は前期比年率で市場予想以上にマイナス幅が減少したものの、内訳では個人消費の落ち込みが目立ち、強弱感が対立する格好となった。それに加えて、8月7日に発表される(米)7月の雇用統計(NFP)や失業率が予想以上に厳しい数値であったとしたら…。
8月3日には(米)7月のISM製造業景況指数、5日には(米)7月のISM非製造業景況指数の発表も予定されており、米雇用統計と合わせて、足下の景況感が8月初旬の米長期金利の動向と11日〜12日に開かれる米FOMCでの議論に大いに影響することは間違いない。
先にバーナンキ議長は、8月のFOMCで米国債購入の期間延長または購入増額について議論することを明らかにしている。仮に、これから発表される米経済指標の結果が予想以上に厳しい内容であった場合、いま一部でくすぶっている追加景気対策の議論が盛り上がり、その結果、米長期金利が急上昇する可能性もないではない。そうなれば、8月のFOMCは米国債購入の期間延長や購入増額に傾く可能性もある。
一時的にも米長期金利が上昇した場合は、リスク回避の円買い(加えて、日米金利差拡大に伴うドル買い)でドル/円は上昇し、FOMCで米国債の購入拡大方向が示されると、リスク選好の円売り(加えて、日米金利差縮小に伴うドル売り)でドル/円は下落するといったところか…。とにかく、いまは非常に微妙な状態にあることだけは確かだ。
加えて、いまはユーロ/ドルの動きも微妙だ。
下のチャートにも見られるように、6月16日の安値以降、ユーロ/ドルは緩やかな上昇チャネルを形成しているかに見られる。
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