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田嶋智太郎の一歩先行くFX
下のチャートを見ても明らかなように、ユーロ/ドルはハッキリとテクニカルに下抜けた。

具体的には、やはり1月20日に長めの陰線を描いて、ついに200日移動平均線(200日線)を下抜けたことが大きい。それ以前は、大よそ1ヶ月に渡って上向きの200日線が下値支持として機能していたが、それを一気に下抜けたことによって、当面は大きな流れとしてのユーロ安・ドル高が続くと見るのが妥当であろう。



執筆時においては、いまだ200日線が上向きであり、あらためて200日線近辺までの戻りを試す可能性を残しているが、1月28日に1.400ドルの重要な心理的節目を下抜けたことは、ユーロ/ドルの上値を一層重くすることに貢献(?)するものと見られる。

当面の下値メドとしては、09年6月安値の1.37ドル台前半が考えられ、これは同年3月の高値がほぼ同水準であることからも一つの節目になりやすい水準であると思われる。

また、09年11月高値=1.5144ドルと同年12月安値=1.4218ドル、そして10年1月の高値=1.4579ドルを元にした「N計算値」は1.3653ドルとなることも覚えておきたい。

そもそも、いま目の前でユーロ/ドルが明らかな下げトレンドに入ったのは何故か?

ファンダメンタルズ的な観点からすると、それは一つにギリシャの問題が挙げられよう。足下では、ギリシャ国債のCDSプレミアムが過去最高水準を更新しているうえ、ポルトガルの財政赤字問題も浮上するなどユーロ圏への不安が大きくなっている。ギリシャの経済構造は極めて複雑で、問題の根は想像以上に深そう。「いずれ欧州域内で何らかの支援が行われる」との見方は消えていないが、いまのところドイツとフランスは支援を計画していないことを明らかにしている。

1月28日、ドイツのブリューデレ経済技術相は「ユーロ圏の一部の国は危険なほど弱さを示している。それはすべてのユーロ圏諸国に致命的な影響を及ぼす可能性がある」と述べた。これでは、そう簡単にユーロ買いに対する安心感は復活してきそうにないムードである。

加えて、中国の金融引き締め観測や米国の金融規制案も、市場のリスク回避ムードを高めており、大きくドル・キャリーの巻き戻し傾向が強まることで、一段とユーロ/ドルの下げに拍車をかける格好となっている。
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