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前回、本欄を更新してから一体、どれだけの月日が経ったというのだろう…。
実際には1ヶ月ほどしか経っていないのだが、足下のユーロ/ドルの水準を見ると隔世の感がある。たしか、前回の本欄のタイトルは「ユーロ/ドルは1.30ドル割れも視野」というものだった。
そして目下は、場合によっては1.20ドル割れもあり得るという状態。この間、幾つものサポートラインをあっさりと下抜け、直近では6月1日に1.2111ドルの安値を見るに至っている。
振り返れば、過去1ヶ月の市場では目の前で起きることすべてがユーロ売りの格好の「口実」とされ、「ああ言えば、こう言う」の連続であった。
欧州連合(EU)がユーロ防衛へ巨額の金融支援策を打ち出せば、市場は「実際にワークするのか?」といってユーロを売る。ECBの国債購入によって支援策がワークすることが確認されると、今度は「そもそも南欧諸国の財政再建は可能なのか?」といってユーロを売る。南欧諸国が相次いで緊縮財政措置を追加で打ち出し、財政再建への道筋を示すと、今度は「そんなに緊縮財政をやったら域内経済は長期低迷するのではないか?」といってユーロを売る…。
何をやってもユーロ安に歯止めがかからないので、しまいにドイツはあまりにも唐突な国債空売り禁止規制を打ち出したが、これは完全に藪へびとなり、かえってユーロ売りの口実を与えることになってしまった。
要は、米国経済が想定以上に順調な回復を示してきたためにドルを売りにくくなっており、ならばいっそどんなことでも「口実」に仕立てて、徹底的にユーロ売りを仕掛けることで資金の回転を利かせようという算段が働いたのであろう。それにしても、最終的にはユーロ発足当初からあった問題まで蒸し返して一段のユーロ安を画策するというところにまで至ると、さすがにやり過ぎ感が否めなくなってきた。
一連の対応が問題の先送りに過ぎず、抜本的な解決策でないことは誰の目にも明らかだが、もはやいい加減にユーロ売りの口実が出尽くしてきたことを考えると、そろそろユーロ安も最終局面に差し掛かってきたと見ることもできるのではないか…。
もともと、当面は2000年10月安値(=0.8230ドル)から08年7月高値(=1.6038ドル)までの上昇に対する半値押しの水準=1.2134ドルが当面の下値メドと見られていたが、その実、ここ2週間ほどのユーロ/ドルは1.21ドル台を下限とするもみ合いを続けている。
6月4日、5日には韓国の釜山でG20財務相・中銀総裁会議が開かれ、主に欧州不安対策について議論される見通し。欧州の問題とその対応についてG20参加国がともに認識を共有することは極めて重要。そのうえで今後の国際協調の重要性が再確認されるならば、それは十分にユーロの下支え要因となり得るだろう。
もちろん、今後も何らかの「口実」が飛び出し、一時的にもユーロ/ドルが1.20ドル割れとなる可能性は否定し切れない。その場合には、05年11月の安値=1.1640ドルが意識されることもあろう。いまだ水準的には遠いのだが、昨今の動きを見るに十分あり得る動きと見ておかねばなるまい。
そんなこんなで、いま暫しは落ち着きのない展開が続く可能性はあるものの、長い目で見れば目下のユーロ安が欧州の輸出企業にとって追い風となっていることも事実であり、いずれはその効果が目に見える形で現れることもあろう。
何より、5月以降の米国経済が着実に減速に向かうことは明らかであり、その意味では対ユーロでドルをどこまで強気に買い上げられるのか?という視点もある。
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