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前回の本欄で、筆者は「そろそろユーロ安も最終局面か」、ただし「一時的にもユーロ/ドルが1.20ドル割れとなる可能性は否定し切れない」と記した。
あれから1ヶ月…ユーロ/ドルは6月7日に1.18ドル台にまで値を沈めたが、後に切り返して執筆時点においては1.25ドル台を回復するに至っている。とりあえず、予想通りの展開となっているわけだ。
ユーロ安が最終局面に差し掛かっていると考えた理由は大きく2つ。
1つは、そろそろユーロ売りの材料(=口実)も出尽くし始めてきたと思われてきたからであり、その実、6月7日に1.8ドル台を試した最大の理由は東欧ハンガリーのデフォルト懸念であった。これは、ハンガリーの新政権が前政権を批判するための口実に財政問題を取り上げ、国民の支持を得ようと画策したという「とんだお騒がせ」であったことがわかっており、ここまで来ると、もはやユーロ売り材料も出尽くしとの感が強まる…。
ときは流れ、6月30日には投資格付け会社のムーディーズがスペインの格付け「AAA」を引き下げる方針であると発表したが、そのこと自体にさして違和感はなく、ハッキリ言えば「何をいまさら…」との感が強いものであった。実際、7月1日に行われたスペイン5年国債の入札は無事に終了し、ユーロ不安の後退に一役買うこととなったわけである。
いま1つは、米国経済の先行き不安が急激に高まってきたからであり、いまやグローバル・マーケットのムードを支配するものは「ユーロ不安」から「ドル不安」に再びシフトしはじめてきたようだ。
周知の通り、4月に米国で一次取得者向け住宅減税の適用期限が終了したことにより、5月の住宅販売が反動減に陥る可能性は以前から指摘されていた。それにしても…6月半ば以降に相次いで発表された5月分の住宅関連指標は、いずれも思っていた以上に弱い…。個人的には「想定通り」の結果であったが、市場は想定以上にネガティブな評価を下しているようだ。
落ち込みが目立つのは住宅関連指標のみに留まるかと思いきや、足下では米国の製造(=生産)や雇用に関わる指標なども軒並み急激な悪化を示している。これは想定していたよりもややペースが速い。
7月1日に発表された(米)6月のISM製造業景況指数は6カ月ぶりの低水準に落ち込み、7月2日に発表された(米)6月の雇用統計は6カ月ぶりの前月比マイナス(12.5万人減)となった。失業率は9.5%と前月よりも改善したが、これは求職活動を停止した(=あきらめた?)人が増えたことによるものと解されている模様。また、民間部門の雇用者数は前月よりも増加したが、米景気の先行きに暗雲が垂れ込めてくると、企業が製造(=生産)を削減し、引いては雇用者数を絞り込むとの連想も働く…。
おりからのユーロ安・ドル高に伴う悪影響や欧州景気の落ち込みが米景気にもモロに響いている。加えて、住宅販売が低調なままだと、近い将来において再び住宅価格が下落しはじめるのではないかとの懸念もジワリ現実味を帯びてくる。住宅価格が下落に転じれば、ますます住宅販売は落ち込む。住宅販売が落ち込めば米経済の成長率はたちまち鈍化するだろうし、米経済が鈍化すれば対米輸出を成長の糧としている中国経済も成長が鈍化することとなり、結果、中国向けの米製造が落ち込み、雇用が縮小するという「負の循環」を目の当たりにする可能性が高まる。
やはり…米国経済、いや世界経済が2番底を試す展開は避けられないのであろうか。
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