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2009年10月24日(土)

不動産投資家必見!「更新料がなくなる日」(1)

今年8月27日、大阪高裁でこれまでの日本の慣習を大きく揺るがすような大きな判断が下されていた。不動産の賃貸借契約の「更新料無効」。不動産投資家にとって、どういう影響を与えるのか。YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)は投資家の視点、法律面、業者サイド、それぞれの観点から問題を探ってみた。あなたの不動産は大丈夫か?

■「8・27」

 法廷は時としてドラマを生む。事務的とさえ思えるくらいにアッサリと一審どおりの結果に収まることが多い高裁判決だが、覆った場合には世の中に、とてつもないインパクトを与えることもある。大阪高裁で審議されていた「更新料無効訴訟」。今年の8月27日、同高裁は、一審判決を覆して、借主である原告の訴えをほぼ全面的に認める判決を言い渡した。

 「どうして双方が納得した上で契約したものを、ひっくり返すことができるのか」

 そう驚きの声を上げた不動産投資家もいた。一度はオーナーと借主がともに納得した上でハンコを押したはずなのに…。初の高裁判決、しかも大阪高裁の判決ということで影響力の大きさを考えれば、自分の身に降りかかってくるのではないか、と予想する不動産投資家も多いだろう。

 不動産投資家の今後の懸念材料としては、更新料を取れなくなる上に、過去にさかのぼって更新料の返還を求められることにもなりかねないのではないか。そのように不安になっている投資家、また一方で、「あまり関係はない」と構える人と受け止め方は様々だ。

 では実際、どのような影響があるのか。YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)では、この判決を重要だと受け止めて、今後のことについてシリーズで様々な角度から考えてみたい。

■「消費者契約法」という名のクセ者?

 ここで、ご存じない方のために、いま一度8月27日の「更新料無効訴訟」を簡単に振り返っておく。

 京都市の男性が、支払い済みの更新料など計約55万円の返還を家主に求め、大阪高裁は「更新料の契約条項は消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に照らして無効」として、家主に約45万円の返還を命じる判決を言い渡した、というもの。

 判決によると、男性は2000年に京都市内のマンションに入居する際、月4.5万円の家賃と1年ごとに10万円の更新料を支払う契約を家主と締結。2005年8月までに5回更新料を支払い、その後退去している。

 おおむね以上のようなものであった。判決理由に「消費者契約法に照らして無効」とあるが、実は改正された消費者契約法が、オーナーサイドにとっては意外なクセ者となる。では、この結果を法的にどう受け止めれば良いのか。多くの不動産投資家をクライアントに持つ弁護士が、次のように話した。

 「確かに原則、契約でいったん定めたことというのは、そう簡単にはひっくり返せません。しかし、消費者契約法が制定された以上、消費者契約法が適用されるケースでは、その原則がひっくり返されることがあります。当判決は判決として妥当なのか?というと、それはわかりません。ただ、非常に説得力のある判決であることは確かで、反論することはかなり大変だと感じています」

 契約という原理原則を覆す消費者契約法。どのような法律なのかを、少し整理してみる。

■大学入試では授業料返還も

 消費者契約法とは2001年4月から施行、2007年から改正されて今にいたっている。目的は一口に言うならば消費者利益の擁護。消費者庁も設立され、世の中の流れは確実にそちらに傾きつつあるようにも思えてくる。投資家サイドには今後も厳しい風当たりになることも予想される。

 ちなみに、この法律が世の中を変えた面もある。まずは、大学入試の授業料。授業料を払い込んだ後に、別の大学に合格し入学を辞退したとしても返還はされないのが常識?だった。これも2006年に最高裁判断では、入学金は入学を担保する性格の物だが、授業料はあくまで入学後のサービスの対価として支払われる物だとして、現在では授業料の返還は当たり前となった。また、消費者金融の過払い金請求は、業界全体を揺るがせたこともあった。

 また、京都以外の関西圏で慣習となっている「敷引き」と言われる退去時に保証金から一定額が引かれる制度でも、適用される場合が出てきている。

 更新料とは元々、昭和40年ごろから現在にいたるまで、商習慣の一環として成り立ってきた。関東、京都などでは広く適用されており、双方が何となく当たり前のように考えてきた。また、入居者も無用ないさかいを起こしたくないということもあっただろう。だが、今回の高裁判決は、今後眠っていた入居者を起こす可能性も十分あり、投資家サイドにとっても気にならないと言えば、ウソになるだろう。では、現役の投資家はどのように受け止めているのだろうか?

■勝ち組投資家は関係ない?

 投資家サイドはさぞかし穏やかではないだろう。実際に現在、東京都内に数億円の不動産資産を持つ30歳代の投資家に、胸の内を聞いてみた。

「このケースは少々悪質(特に関西地域で多いそうですが)で、一般の善良な大家のケースとは異なると思います」

 この大家のケースは、1年ごとに家賃の2カ月分を請求。相場よりも更新料が高額に設定されている。まるで、いっしょにしないで欲しいと言わんばかりに本音を語ってくれた。確かに客観的に第三者の視点で見ても、そう感じないわけではない。

 その上で「業者にもよるが更新料の半分は不動産会社の再契約事務手数料が含まれており、更新料という名前をそのように変更しても良いかもしれません。また、わたしは現時点でも不動産会社への契約手数料以外は取っていないので、直接的に受ける影響はほとんどないですね」と、勝ち組投資家にとっては、問題ではなさそうだった。

 一方、キャリアの浅い別の不動産投資家は「家賃滞納やトラブルの話はよく聞くし、やはり煩わしい面は心配します。入居者とのトラブルは、自分も含めてどのオーナーも好まないでしょうね。実は最近は駐車場の方が、そういうトラブルなども少なくていいのか、と考えることもあります」と不安を口にする。

 では、次からは不動産投資家がどのくらいの打撃を受けるのか、また、広く不動産市場そのものへの影響についても考えていく。(つづく)

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記事提供元
アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社。2004年8月設立。資本金及び準備金 5億1,000万円。
株主:東京海上日動火災保険株式会社、創業者他

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