■就職浪人危機から一転
チョコレートはヨーロッパをはじめ、日本でも親しまれているお菓子だが、中国での消費量は少なく、まして本格的なチョコレート“専門店”はわずか。そこに目を付けたチョコレート好きな中国の少女が事業を起こし、大成功を収めている。
彼女の名前は何寧(かねい)さん。中国河南省中部の鄭州出身で、2004年に鄭州大学を卒業した。良くて70%と言われる中国の新卒就職率。就職浪人する者も少ないわけではなく社会問題化している。何さんも、そうした空気を感じ取っていたのかもしれない。
何さんは就職活動をする気がなかったが、自分の好きなことをしたいと考えていた。その時、インターネット上で偶然見つけた「手作りチョコレート」のページが運命の扉を開くきっかけとなった。
■チョコレートは絶対に若者にウケる!!
中国ではチョコレートの消費量はそれほど多くはないものの、何さんの大学の友人をはじめ多くの若者に好まれていた。それに、一般的には「食べると太る」と考えられているが“本物”のチョコレートはポリフェノールやビタミン、ミネラルなどを含んでいて生活習慣病の予防や、脳の活性化に役立つということはすでに知られていたからだ。
何さんはチョコレート販売が可能性のある分野に思えてきた。まず、中国に一店舗だけある、チョコレート店に行って店主に話を聞くことにした。その店の女性店主は、彼女を厚くもてなし、アドバイスをしてくれた。何さんは「すでに40歳を過ぎた店主が、若者の間で流行っているチョコレートを売って儲かっている。自分なら、もっとうまく出来るはずだ」と確信したという。
しかし、この店はチョコレート専門店ではなく、一緒にケーキなども販売していた。何さんはこうした形態ではなく、手作りチョコレートの「専門店」を開きたかったのだ。さらに、自分で作ったチョコレートを売るだけでなく、顧客もチョコレート作りに参加できるような店をイメージしていた。
何さんは、チョコレート専門店のアイディアを両親に打ち明けたが、はじめは大反対された。何より彼女には社会経験がなく、両親は「まずは普通の会社で働くべきだ」と進めたが、彼女の決意は揺るがなかった。チョコレートが栄養面で優れていることやこの分野の可能性を説明し、何度も説得した。そしてついに両親はお店を始めることに賛成し、さらに資金面でも援助してくれることになった。
■故郷で出店を決意
チョコレート専門店を開く決意をすると、何さんの行動は早かった。早速、北京の有名なチョコレート作りの専門家のところに行き、作り方を教わったのだ。2カ月間の特訓で、何さんは5万元(約75万円)を費やしたが、本物のチョコレートの作り方を習得しただけでなくオリジナルチョコの開発をするなど、多くを学んだ。
その後、鄭州に戻った何さんは、早速店を開くための物件探しを始めた。物件探しから開店までには、たった2カ月ほどしか時間がなかった。準備期間中、大学は夏休み。彼女は何とか学校が始まると同時にお店を開店したかったのだ。しかし、この時期良い物件は少なく、彼女は毎日自転車に乗って、不動産屋を巡ったという。
彼女は鄭州の西側に住んでいたが、物件を探したのは東区周辺だった。東区のほうが、発展が著しく政府も開発に力を入れていたからだ。その分家賃は高く1カ月6800元(約8万900円)。今の手持ちの資金を考えれば、普通は迷うところだったが、躊躇することはなかった。彼女はこの繁華街に店を出すことに決めた。(つづく)
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