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 更新:2013年5月13日
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2010年11月15日(月)

「松濤」48億円の都知事公館はバブルなのか?

売り出しを決定しすでに約3年が経過しようとする「東京都知事公館」。所在地は富裕層が最も好む高級住宅地の一つでもある渋谷区松濤一丁目。約2200平方メートルの広大な敷地と建物を合わせて、お値段は48億円。ここ数年の地価下落で、同地区のマンションや不動産販売も好調と聞くが、知事公館だけが世の中の景気とは無関係にある意味で“バブル”の状態にあり、まだ買い手は現れない。近況を追ってみた。

「松濤」48億円の都知事公館はバブルなのか? ■48億円は高すぎないか?

 売り出しを決定しすでに約3年が経過しようとする「東京都知事公館」。所在地は富裕層が最も好む高級住宅地の一つでもある渋谷区松濤一丁目だ。約2200平方メートルの広大な敷地と建物を合わせて、お値段は48億円。ここ数年の地価下落で、同地区のマンションや不動産販売も好調と聞くが、知事公館だけが世の中の景気とは無関係に、ある意味で“バブル”の状態にあり、まだ買い手は現れていない。近況を追ってみた。

 文化、流行の発信地である東京・渋谷。JR渋谷駅を降りたとたんに活気があふれてくる賑わいの中、10分ほど歩くと東京都知事公館にたどりつく。高い壁に覆われ、壁上から物々しい警備カメラが門外を監視する。

 近くに住むという30代女性は「普段、話題に出ることもありませんし、そう言えばまだ売れていなかったのですね」とあまり関心がない様子。ただ48億円という値段を知らせると「えっ」とさすがに驚いていた。また、近くの造園業の男性も「公館は入ったことがない。中はどうなっているのだろうね」と、まるで遠い世界の事のように話す。

 本来は主となるはずだった石原慎太郎知事が一度も住むことなく売却を決定したのは2008年のこと。当時の都政担当記者は「知事が住んでいれば、当然夜周り取材に行きますけど、行ったことがない。まだ売れていなかったのですね」と振り返る。

 皮肉なことに、地価は下がっていることもあり、近くの億ションなどの売れ行きは好調。知事公館は48億円という価格で、さらに売却相手が大使館などに限られているということもある。また、公共財のため地方自治法に則って値下げもできない。

 将棋で言う、詰んだ状態だ。

■もとは旧・会津藩松平家の由緒ある日本家屋

 東京都知事公館は、敷地面積約2200平方メートル、延べ床面積は約1890平方メートル。都財務局が、第三者に鑑定を依頼して算出した価格は最低48億円。土地の値段は公示価格に照らし合わせると約23億円、建物は約25億円という計算になる。

 土地の価値は理解できるが、建物が高いような気もする。しかし「特別な仕様のものなので」(都財務局)という。何が特殊なのかはよくわからないのだが、建物は1997年の故・青島幸男知事時代に12億円かけて改装工事を実施されたものだ。土地がバブルなのではなく、建物がバブルではないのか?

 元々は、1927年(昭和2年)に会津松平家の屋敷として建築された、純和風の格式高い日本家屋だった。47年(昭和22年)に東京都が買い取り、現在にいたっている。かつては由緒正しき御屋敷であったが、今はそんな歴史の面影はまったく見ることはできない。

 1997年という時代背景も影響はしている。阪神大震災の直後ということもあり、やはり建て替えは必然だっただろう。しかし、「中を見た人はがっかりするらしい」(元都政担当記者)ということだ。

 かつて猪瀬直樹・副知事は中に入り、その様子を日経BPで「一目みて、なぜ12億円もかけてこんなひどいものをつくったのか、と愕然とした。センスがない。石原都知事も入居しないわけだ」とレポートしている。

 ある大手不動産会社営業マンも「あんないい立地をもったいない…。うまくやれば、もっと儲かったでしょうに」とこぼす。

■同じ渋谷区の高級マンションに負けた?

 「531万円」。

 これは今年、奇しくも松濤一丁目と同じく渋谷区にある高級住宅街・代官山にできた高級賃貸マンション「ラ・トゥール代官山」の最も賃料が高いプランだ。こちらは大使館関係者にも人気があるという。同じ渋谷区だというのに…。

 前出の不動産営業マンも「あの立地ならば、ラ・トゥール代官山くらいの賃料は取れた可能性はあるでしょう」と話す。確かにそのくらいのものであれば、売却、もしくは賃貸マンションとして運用もできたかもしれない。ちなみに、以前イタリアの団体に貸していた当時は月額約300万円で貸していたこともある。

 この都知事公館は広さの割には会議室が多く、居住スペースは狭いとも言われる。ただ、当時の都知事も売るつもりで工事をしたわけではないので、今さら言ってもどうにもならない。

 石原知事は過去の定例記者会見で、記者に感想を問われて次のように答えている。

 「嫌だよ、あんなとこ。住めるとこじゃないもの、本当に。行ってごらんよ、あんなとこ。みっともないよ。あんなものを、だれがつくったか知らぬけどね、今の官邸と同じで、営繕部がつくるとあんなものしかつくれない。だから、官僚のセンスってあんなものだよ」

 ここが契約に至らない理由なのかもしれない。

 また、第一種低層住宅のため商業施設にもできず、公共財のために値下げもできず、出来ないづくしでピンチに陥る東京都。「申し込みには至っていませんが、これまで何件かお話はさせていただきました。現在も交渉はしております」と財務局は説明する。

 来年は都知事選挙を控える。そこで社会部記者からこんな皮肉の声も出る。

 「知事公館に住む人が新知事になれば、売らなくてよくなる」

 富裕層に人気がある高級住宅地・松濤一丁目で、知事公館の存在が昔のことのように忘れ去られようとしている。

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記事提供元
アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社。2004年8月設立。資本金及び準備金 5億1,000万円。
株主:東京海上日動火災保険株式会社、創業者他

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